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CHAPTER 9 語をつなぐ 読む目安 約10分 / ⚡暗記ボックス 3

語をつなぐ|第9章 補語人称代名詞・強勢形・中性代名詞 y と en

この章の狙い

要点: フランス語の代名詞は動詞の前に置く。しかも2つ重なると順番が決まっている。この語順は日本語とも英語とも違うので、理屈で分かるだけでは足りず、型として自動化する必要がある

代名詞が使えないと、フランス語の文はすぐに不自然になる。同じ名詞を何度も繰り返すことを、フランス語は英語以上に嫌うからである。読解でも、代名詞が何を指しているかを取り違えると、文の意味が反転する

この章では、直接目的補語・間接目的補語・中性代名詞(ちゅうせいだいめいし) y と en・強勢形(きょうせいけい)の4種類と、それらが重なるときの語順を扱う。

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直接か間接かは、前置詞で決まる

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

まず動詞と目的語の関係を見分ける。判断は意味ではなく、前置詞があるかどうかで機械的に決まる。

  • 📘 直接目的補語:前置詞を挟まずに動詞に続く目的語。voir quelqu'un、regarder la télévision
  • 📘 間接目的補語:前置詞 à を挟んで動詞に続く目的語。téléphoner à quelqu'un、parler à quelqu'un
動詞
voir、regarder、aimer、connaître 直接 Je vois Paul.
téléphoner à、parler à、répondre à、obéir à 間接 Je téléphone à Paul.
donner、dire、montrer、écrire 両方をとる Je donne le livre à Paul.

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日本語の助詞とは一致しない。「〜に電話する」は日本語では「に」だが、フランス語でも à なので一致する。しかし「〜を待つ」の attendre は前置詞をとらない直接他動詞で、attendre quelqu'un となる。動詞ごとに辞書で確かめるしかない。

⚠️ 前置詞で間違えやすい動詞

  • attendre(〜を待つ) 直接。attendre à とは言わない
  • chercher(〜を探す) 直接
  • regarder(〜を見る) 直接
  • écouter(〜を聞く) 直接
  • téléphoner à(〜に電話する) 間接
  • répondre à(〜に答える) 間接

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補語人称代名詞

⊳ この節の問題を解く(2問・2枚)

直接と間接で、3人称だけ形が違う。1・2人称は共通である。

人称 直接 間接
私を/私に me(m') me(m')
きみを/きみに te(t') te(t')
彼を・それを/彼に le(l') lui
彼女を・それを/彼女に la(l') lui
私たちを/に nous nous
あなた(がた)を/に vous vous
彼らを・彼女らを/彼らに les leur

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3人称だけ覚えれば足りる

  • 直接 le / la / les(性と数で変わる)
  • 間接 lui / leur性で変わらない。lui は「彼に」も「彼女に」も表す)
  • この非対称が、初級で最も間違えやすい点である。
意味
Je le vois. 私は彼(それ)を見る
Je lui parle. 私は彼(彼女)に話す
Je les attends. 私は彼らを待つ
Je leur réponds. 私は彼らに答える

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中性代名詞 y と en

⊳ この節の問題を解く(4問・3枚)

性と数を持たない代名詞が2つある。どちらも「前置詞ごと置き換える」と考えると整理できる。

  • 📘 yà + もの、または場所を置き換える代名詞。
  • 📘 ende + もの、数量、部分冠詞の付いた名詞を置き換える代名詞。
置き換える元 代名詞
場所(à、dans、en …) y Je vais à Paris. → J'y vais.
à + もの・こと y Je pense à mon avenir. → J'y pense.
de + もの・こと en Je parle de ce livre. → J'en parle.
部分冠詞・不定冠詞の名詞 en Je bois du café. → J'en bois.
数量 en J'ai deux livres. → J'en ai deux.

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y と en の注意

  • à + 人は y にしない。間接目的補語(lui / leur)を使う。 Je pense à Paul. → Je pense à lui.(この形は例外的に強勢形を使う)
  • 数量を言うときは、数を残す。J'en ai deux. の deux は省略できない。
  • en は否定文でも残る。Je n'en ai pas.

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語順 — 動詞の前に置く

⊳ この節の問題を解く(3問・2枚)

代名詞は活用している動詞の直前に置く。否定文では ne の後ろに入る。

文の型
肯定 Je le vois.
否定 Je ne le vois pas.
疑問(倒置) Le voyez-vous ?
不定形(ふていけい)があるとき Je vais le voir.(不定形の直前
近接過去 Je viens de le voir.

不定形があるときは、その不定形の直前に置く。活用している動詞の前ではない。Je le vais voir. は誤りである。

2つ重なるときの順序は決まっている。

代名詞は動詞の前に、この順で並ぶ 1・2人称 me te nous vous 直接 le la les 間接 lui leur 中性 y 中性 en y と en は必ず最後に来る。 Il me le donne.  彼はそれを私にくれる Je le lui donne.  私はそれを彼にあげる Il y en a.     それがある 否定文では ne の後ろに入る。Je ne le vois pas. 不定形があるときは、活用した動詞ではなく不定形の直前。Je vais le voir.
代名詞が重なるときの順序

代名詞の並ぶ順

  • me / te / nous / vousle / la / leslui / leuryen
  • Il me le donne.(彼はそれを私にくれる)
  • Je le lui donne.(私はそれを彼にあげる)
  • Il y en a.(それがある)
  • 覚え方は「1・2人称 → 直接 → 間接 → y → en」。y と en は必ず最後である。

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強勢形

⊳ この節の問題を解く(3問・2枚)

動詞の前ではなく、単独で立つ代名詞。

主語 強勢形
je moi
tu toi
il / elle lui / elle
nous nous
vous vous
ils / elles eux / elles

使う場面は5つある。

場面
前置詞のあと avec moi、chez eux、pour toi
強調 Moi, je pense que …
比較の que のあと plus grand que moi
c'est のあと C'est moi.
主語を並べるとき Lui et moi, nous sommes amis.

強調の形は、フランス語の話し言葉で非常によく使う。主語代名詞は音が弱いので、強調したいときは強勢形を前に置いて言い直す。

⚠️ 代名詞でやりがちな間違い

  • 動詞の後ろに置く。フランス語では原則として動詞の前である(命令法(めいれいほう)だけが例外で、第10章で扱う)。
  • lui を「彼に」だけだと思い込む。間接目的補語の lui は女性にも使う。
  • 不定形があるときに、活用している動詞の前に置く。不定形の直前が正しい。
  • à + 人を y にする。人には lui / leur、または à + 強勢形。

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読む・聴く

読み物 — La discipline(規律)

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

この章までの文法だけで書いた文章である。代名詞が何を指しているかを、1つずつ確かめながら読む。

フランス語 日本語
La discipline n'est pas un talent. C'est une habitude. 規律は才能ではない。習慣である。
Tu la construis chaque jour, comme un muscle. きみはそれを毎日築く、筋肉のように。
Le matin, tu as froid et tu es fatigué. 朝、きみは寒く、疲れている。
Ton lit est confortable. きみのベッドは心地よい。
Mais tu penses à ton objectif, et tu y penses très fort. だがきみは自分の目標を思う。そしてそれを強く思う。
Alors tu choisis : le lit ou l'objectif. そこできみは選ぶ。ベッドか、目標か。
Personne ne choisit pour toi. 誰もきみの代わりに選ばない。
Ces petites victoires, tu les comptes. その小さな勝利を、きみは数える。
Après un mois, elles sont trente. 1か月後、それは30になる。

語注

品詞・意味
talent 男性名詞。才能
construire 動詞(第3群)。築く、建てる
muscle 男性名詞。筋肉
lit 男性名詞。ベッド
confortable 形容詞。心地よい
objectif 男性名詞。目標
choisir 動詞(第2群)。選ぶ
victoire 女性名詞。勝利
compter 動詞(第1群)。数える

読みどころ

  • Tu la construis の la は la discipline を指す。直前の文の主語を受けている。
  • tu y penses の y は à ton objectif を置き換えている。penser à の à がそのまま y になった形。
  • Personne ne choisit は、personne が主語のとき ne が要る形(第4章)。
  • Ces petites victoires, tu les comptes. は、目的語を文頭に出して代名詞で受け直す形である。話し言葉で非常に多い語順なので、読解でも会話でも出会う。
  • elles sont trente の elles は les victoires を指す。数を言うときは être を使う。

大学のフランス語で

⊳ この節の問題を解く(1枚)

同じ代名詞が、学術的な文章では次のように出る。

フランス語 日本語
Ce roman, on l'a beaucoup étudié. この小説は、多く研究されてきた。
L'auteur y parle de son enfance. 作者はそこで自分の幼年時代について語っている。
Il en donne plusieurs exemples. 彼はそれについていくつもの例を挙げている。

y が「その作品の中で」、en が「そのことについて」を指すこの使い方は、批評文で繰り返し出てくる。第14章の関係代名詞と並んで、論文を読むときに最初に慣れるべき形である。

第9章の通過チェック

  • 直接目的補語と間接目的補語を、前置詞の有無で見分けられる
  • 3人称の直接(le / la / les)と間接(lui / leur)を言い分けられる
  • lui が女性にも使えることを説明できる
  • y と en が何を置き換えるかを、それぞれ2つずつ言える
  • 代名詞が2つ重なるときの順序を言える
  • 不定形があるときの代名詞の位置を言える
  • 強勢形を使う場面を4つ言える

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次章へ

代名詞の語順が入ったので、次章ではその例外を扱う。命令法では、代名詞が動詞の後ろに回る。

あわせて代名動詞(だいめいどうし)を扱う。se lever(起きる)のように、主語と同じものを指す代名詞を必ず伴う動詞で、フランス語の日常表現の大きな部分を占める。第11章の複合過去でも、この動詞だけ特別な扱いになる。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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