語をつなぐ|第13章 単純未来と前未来
この章の狙い
要点: 単純未来は不定形(ふていけい)をほぼそのまま語幹(ごかん)に使うので、作り方は簡単である。負担は不規則な語幹が15語ほどあることと、時を表す接続詞のあとで日本語や英語と違う時制をとることの2点に集中している。
「〜したら〜する」と言うとき、日本語は「したら」を現在形で言い、英語も when 節では現在形を使う。フランス語だけが、ここで未来形を使う。この違いは作文で必ず現れるので、規則として覚えるより例文ごと入れるほうが速い。
単純未来の作り方
- 📘 単純未来:これから起きることを表す時制。予定・予測のほか、丁寧な命令にも使う。
⚡ 単純未来の作り方
- 語幹は不定形そのもの。
- 語尾は -ai / -as / -a / -ons / -ez / -ont(avoir の現在形とほぼ同じ)。
- -re で終わる動詞は、語末の e を落とす(prendre → prendr-)。
| 不定形 | 語幹 | je の形 | ils の形 |
|---|---|---|---|
| parler | parler- | je parlerai | ils parleront |
| finir | finir- | je finirai | ils finiront |
| prendre | prendr- | je prendrai | ils prendront |
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語尾に必ず r の音が入るのが単純未来の特徴である。半過去の [ɛ] と聞き分ける手がかりになる(je parlerai [paʁləʁe] と je parlais [paʁlɛ])。
不規則な語幹
数は多くないが、すべて最頻出の動詞である。語尾は変わらないので、語幹だけを覚える。
| 不定形 | 語幹 | je の形 |
|---|---|---|
| être | ser- | je serai |
| avoir | aur- | j'aurai |
| aller | ir- | j'irai |
| faire | fer- | je ferai |
| venir | viendr- | je viendrai |
| tenir | tiendr- | je tiendrai |
| voir | verr- | je verrai |
| envoyer | enverr- | j'enverrai |
| pouvoir | pourr- | je pourrai |
| vouloir | voudr- | je voudrai |
| devoir | devr- | je devrai |
| savoir | saur- | je saurai |
| recevoir | recevr- | je recevrai |
| courir | courr- | je courrai |
| mourir | mourr- | je mourrai |
| falloir | faudr- | il faudra |
← 横に動かして読めます →
⚡ r が2つ重なる4語
- pourrai / verrai / enverrai / courrai / mourrai
- 綴りで r を1つにすると別の形(半過去や条件法)に見えるので、書くときに注意する。
この語幹は、第15章の条件法でもそのまま使う。ここで覚えておくと、条件法は語尾を差し替えるだけで済む。
単純未来の用法
| 用法 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 予定・予測 | Je partirai demain. | 明日出発する |
| 丁寧な命令・指示 | Vous fermerez la porte. | 扉を閉めてください |
| 推測 | Il sera malade. | 彼は病気なのだろう |
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2つ目は、命令法(めいれいほう)よりやわらかい指示として使われる。教員や上司の言い方として出てくる。
近接未来との使い分け
第5章で扱った aller + 不定形(近接未来)との違いは、厳密な規則ではなく傾向である。
| 形 | 傾向 |
|---|---|
| aller + 不定形 | 近い未来、確実性が高い、話し言葉 Je vais partir.(もう出る) |
| 単純未来 | 遠い未来、予定・計画、書き言葉 Je partirai demain.(明日出発する) |
話し言葉では近接未来のほうが多い。単純未来しか使えない場面はないので、まず近接未来で言えるようにしておき、書くときに単純未来へ切り替えられればよい。
前未来
- 📘 前未来:未来のある時点までに完了していることを表す時制。
作り方は複合過去・大過去と同じ構造で、助動詞を単純未来にする。
| 型 | 例 |
|---|---|
| avoir の単純未来 + 過去分詞(かこぶんし) | j'aurai fini |
| être の単純未来 + 過去分詞 | je serai parti(e) |
助動詞の選択も過去分詞の一致も、第11章の規則がそのまま効く。
| 例 | 意味 |
|---|---|
| Dans cinq ans, j'aurai fini mes études. | 5年後には学業を終えているだろう |
| Quand tu arriveras, j'aurai déjà mangé. | きみが着くころには、私はもう食べ終えているだろう |
時を表す接続詞のあとの時制
ここが、この章でいちばん間違えやすい点である。
⚡ quand のあとは未来形
- Quand je serai grand, je serai médecin.(大きくなったら医者になる)
- 日本語「大きくなったら」も英語 when I grow up も現在形だが、フランス語は未来形にする。
- 同じ規則が dès que / aussitôt que(〜するとすぐ)/lorsque(〜するとき)/tant que(〜するかぎり) にも効く。
先に完了することを言うなら、接続詞のあとを前未来にする。
| 例 | 意味 |
|---|---|
| Quand j'aurai fini, je sortirai. | 終えたら出かける |
| Dès que tu seras arrivé, appelle-moi. | 着いたらすぐ電話して |
si のあとは未来にしない
条件の si のあとだけは、未来形も条件法も使わない。現在形にする。
| 正しい形 | 誤りやすい形 |
|---|---|
| Si je travaille, je réussirai. | ✕ Si je travaillerai … |
| Si j'ai le temps, je viendrai. | ✕ Si j'aurai le temps … |
⚠️ 未来でやりがちな間違い
- quand のあとを現在形にする。日本語・英語からの直訳が原因で、最も多い誤り。
- si のあとを未来形にする。quand と si で逆になるので、対にして覚える。
- 語幹の r を1つにする。pourrai / verrai / courrai は r が2つ。
- 前未来の助動詞を現在形にする。単純未来にする。
quand は未来形、si は現在形。この対比だけを覚えれば、両方が片づく。
読む・聴く
読み物 — Dans cinq ans(5年後)
単純未来・前未来・quand・si がすべて出る。時制を1つずつ確かめながら読む。
| フランス語 | 日本語 |
|---|---|
| Dans cinq ans, j'aurai fini mes études. | 5年後には、私は学業を終えているだろう。 |
| Je parlerai français sans difficulté. | 私は苦もなくフランス語を話しているだろう。 |
| Quand j'aurai lu mes premiers romans en français, je passerai aux essais. | フランス語で最初の小説を読み終えたら、評論に移る。 |
| Si je travaille chaque jour, j'y arriverai. | 毎日取り組めば、たどり着ける。 |
| Ce ne sera pas facile. | 楽ではないだろう。 |
| Il y aura des jours où je ne voudrai pas continuer. | 続けたくない日もあるだろう。 |
| Mais je n'aurai pas besoin de motivation : j'aurai une habitude. | だが意欲は必要ない。習慣があるからだ。 |
語注
| 語 | 品詞・意味 |
|---|---|
| études | 女性名詞(複数)。学業 |
| sans difficulté | 苦もなく |
| roman | 男性名詞。小説 |
| essai | 男性名詞。評論、エッセー、試み |
| passer à | 〜に移る |
| y arriver | そこにたどり着く、やり遂げる |
| avoir besoin de | 〜を必要とする |
| motivation | 女性名詞。意欲 |
読みどころ
- j'aurai fini / j'aurai lu は前未来。その時点までに完了していることを示す。
- Quand j'aurai lu …, je passerai … は、接続詞のあとが前未来、主節が単純未来という組み合わせ。ここを「読んだら」と現在形にしないのが要点。
- Si je travaille …, j'y arriverai. は、si のあとが現在形、主節が単純未来。前の文と並べると、quand と si の違いがはっきりする。
- j'y arriverai の y は中性代名詞(第9章)。y arriver で「やり遂げる」という決まった言い方になる。
- Il y aura des jours où … の où は関係代名詞(第14章)。
大学のフランス語で
論文や解説でも、単純未来はこれから述べることの予告として使われる。
| フランス語 | 日本語 |
|---|---|
| Nous verrons dans la deuxième partie que … | 第2部で〜を見ることにする。 |
| On montrera ici que … | ここでは〜を示すことにする。 |
| Cette question sera abordée plus loin. | この問題は後ほど扱う。 |
「これから論じる」という予告の未来形は、フランス語の論文で決まった型である。第2部・第3部という構成そのものが型として決まっているので(第7章にあたる文学研究の領域)、この言い回しは繰り返し出てくる。読むときは、論の進行を示す道しるべとして拾う。
⚡ 第13章の通過チェック
- 単純未来の作り方と、-re 動詞での注意を言える
- 不規則な語幹を10語以上言える
- r が2つ重なる語を4語言える
- 近接未来と単純未来の使い分けの傾向を言える
- 前未来の作り方と用法を言える
- quand のあとを未来形にすることを、例で示せる
- si のあとを現在形にすることを、例で示せる
次章へ
時制がひととおりそろった。次章では、2つの文を1つにつなぐ関係代名詞を扱う。
関係代名詞は、読解でいちばん効く文法である。長い文が読めない原因のほとんどは、関係代名詞がどこからどこまでを修飾しているかを見失うことにある。あわせて、フランス語特有の強調の形(c'est … qui / c'est … que)も同じ章で扱う。