文の骨組み|第5章 動詞の現在形 — 規則動詞・主要な不規則動詞と近接時制
この章の狙い
要点: 活用は覚える量が多いように見えるが、型は3つしかなく、しかも音では6つのうち4つが同じになることが多い。書いて覚えるより、声に出して型ごと入れるほうが速い。
フランス語の動詞は主語に応じて6つの形を持つ。辞書に載っているのは活用していない形(不定形)なので、辞書を引くには活用形から不定形を逆算できる必要がある。逆に、文を作るには不定形から活用形を作れる必要がある。この章で両方向を通す。
近接未来と近接過去もここで扱う。新しい時制を覚えずに、現在形だけで「これから〜する」「〜したところだ」が言えるようになるからである。
動詞は3つの群に分ける
不定形の語末で分類する。
| 群 | 不定形の語末 | 数 | 例 |
|---|---|---|---|
| 第1群 | -er | 全動詞の約9割 | parler、aimer、travailler |
| 第2群 | -ir(nous で -issons になるもの) | 約300語 | finir、choisir、réussir |
| 第3群 | それ以外 | 数十語だが頻出 | aller、venir、faire、prendre |
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- 📘 不定形:活用していない動詞の形。辞書の見出しになる形で、原形ともいう。
- 📘 語幹(ごかん):活用しても変わらない部分。parler なら parl-。ここに語尾が付く。
新しい動詞は第1群として作られるので、第1群の型を覚えると、知らない動詞にも対応できる。téléphoner、cliquer のような語も同じ型である。
⚠️ 群の見分けでやりがちな間違い
- -ir で終われば第2群だと考える。partir、venir、ouvrir は第3群である。見分けるには nous の形が -issons になるかを確認する。
- aller を第1群だと考える。-er で終わるが完全に不規則で、第3群に入る。
第1群規則動詞(-er)
parler(話す)で型を見る。
| 主語 | 形 | 音 |
|---|---|---|
| je | parle | [paʁl] |
| tu | parles | [paʁl] |
| il / elle / on | parle | [paʁl] |
| nous | parlons | [paʁlɔ̃] |
| vous | parlez | [paʁle] |
| ils / elles | parlent | [paʁl] |
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⚡ 第1群は音では3種類しかない
- je・tu・il・ils の4つはすべて同じ音。綴りだけが違う。
- 違う音になるのは nous と vous だけ。
- つまり聞き取りでは、動詞ではなく主語で人称を判断する。
綴りが少し変わるものがある。発音を保つための調整なので、理由が分かれば覚えやすい。
| 型 | 変化 | 例 |
|---|---|---|
| -ger | nous で e を入れる | manger → nous mangeons(g を [ʒ] のまま保つ) |
| -cer | nous で ç にする | commencer → nous commençons(c を [s] のまま保つ) |
| -e_er | 語幹の e が è になる | acheter → j'achète(nous achetons はそのまま) |
| -é_er | 語幹の é が è になる | préférer → je préfère |
| -eler, -eter | 子音を重ねる | appeler → j'appelle、jeter → je jette |
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変化するのは je・tu・il・ils の4つで、nous と vous は変わらない。第2章の規則がそのまま効いている(mangeons の e がないと、g が a の前で [ɡ] になってしまう)。
第2群規則動詞(-ir)
finir(終える)で型を見る。nous・vous・ils に -iss- が入るのが特徴である。
| 主語 | 形 |
|---|---|
| je | finis |
| tu | finis |
| il / elle / on | finit |
| nous | finissons |
| vous | finissez |
| ils / elles | finissent |
この型に入る主な動詞は次のとおりで、多くが形容詞から作られている。
| 動詞 | 意味 | もとの形容詞 |
|---|---|---|
| finir | 終える | — |
| choisir | 選ぶ | — |
| réussir | 成功する | — |
| réfléchir | よく考える | — |
| grandir | 大きくなる | grand |
| grossir | 太る | gros |
| maigrir | やせる | maigre |
| rougir | 赤くなる | rouge |
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第3群 — 頻出の不規則動詞
数は少ないが、使用頻度は圧倒的に高い。まず7語を音で入れる。
| 不定形 | je | tu | il | nous | vous | ils |
|---|---|---|---|---|---|---|
| aller(行く) | vais | vas | va | allons | allez | vont |
| venir(来る) | viens | viens | vient | venons | venez | viennent |
| faire(する) | fais | fais | fait | faisons | faites | font |
| prendre(取る) | prends | prends | prend | prenons | prenez | prennent |
| pouvoir(できる) | peux | peux | peut | pouvons | pouvez | peuvent |
| vouloir(したい) | veux | veux | veut | voulons | voulez | veulent |
| devoir(ねばならない) | dois | dois | doit | devons | devez | doivent |
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faire の nous faisons は [fəzɔ̃] と読む。綴りは ai だが [ɛ] ではない。この語だけの例外なので、音で覚える。
次の7語も、読解では必ず出る。
| 不定形 | je | nous | ils |
|---|---|---|---|
| savoir(知っている) | sais | savons | savent |
| voir(見る) | vois | voyons | voient |
| partir(出発する) | pars | partons | partent |
| mettre(置く) | mets | mettons | mettent |
| dire(言う) | dis | disons | dites |
| lire(読む) | lis | lisons | lisent |
| écrire(書く) | écris | écrivons | écrivent |
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⚡ vous の形が -ez にならない3語
- vous êtes(être)/ vous faites(faire)/ vous dites(dire)
- この3つだけなので、まとめて覚えてしまう。
pouvoir・vouloir・devoir は、後ろに不定形をそのまま置く。
| 例 | 意味 |
|---|---|
| Je peux venir. | 私は来られる。 |
| Je veux venir. | 私は来たい。 |
| Je dois venir. | 私は来なければならない。 |
否定にするときは、ne … pas が活用した動詞をはさむ。Je ne peux pas venir. であって、不定形をはさむのではない。
活用を身につける回し方
活用は理解ではなく自動化である。読んで納得しても、口から出てこなければ授業では使えない。
⚡ 1日15分の回し方
- 声に出す。 書くより速く、音の型(第1群は3種類)が身につく。
- 6つを1セットで、順番どおりに。 je から ils まで通しで言う。順番が固定されると、必要な形が取り出しやすくなる。
- 不定形 → 活用と活用 → 不定形の両方向をやる。読解で要るのは後者である。
- 間違えたものだけを翌日に回す。 一問一答の「あやふや」がそのまま翌日の教材になる。
⚠️ 活用の練習でやりがちな失敗
- 表を眺めて覚えたつもりになる。再生できるかを毎回試す。
- 書く練習だけをする。音の型が入らないので、聞き取りで使えない。
- 全部の動詞を同時に始める。まず être・avoir と上の7語に絞る。
近接未来と近接過去
aller と venir を覚えると、その場で2つの表現が使えるようになる。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| aller + 不定形 | これから〜する(近接未来) | Je vais partir.(もう出発する) |
| venir de + 不定形 | 〜したところだ(近接過去) | Je viens de partir.(出発したところだ) |
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- 📘 近接未来:aller の現在形に不定形を続けて、これから起きることを表す形。
- 📘 近接過去:venir de に不定形を続けて、たった今終わったことを表す形。
否定は、活用している aller・venir をはさむ。
| 肯定 | 否定 |
|---|---|
| Je vais partir. | Je ne vais pas partir. |
| Je viens de partir. | Je ne viens pas de partir. |
近接未来は、話し言葉では単純未来(第13章)よりよく使われる。近い先のことなら、まずこちらで言えれば足りる。
⚠️ 近接時制の間違い
- aller を「行く」の意味に取ってしまう。Je vais manger. は「食べに行く」ではなく「これから食べる」。
- venir de の de を落とす。de がないと「来る」の意味になる(Je viens manger. は「食べに来る」)。
- 不定形を活用させる。後ろは必ず不定形のままである。
読む・聴く
この章の文法だけで書いた文を音にする。以下は本教材で作成した例文である。
| フランス語 | 意味 | 確認する点 |
|---|---|---|
| Je travaille tous les jours. | 私は毎日勉強している。 | 第1群、je の形 |
| Nous commençons à huit heures. | 私たちは8時に始める。 | -cer の nous |
| Je choisis le plus difficile. | 私はいちばん難しいものを選ぶ。 | 第2群 |
| Elle fait du sport le matin. | 彼女は朝にスポーツをする。 | faire、部分冠詞 |
| Je ne peux pas venir aujourd'hui. | 今日は行けません。 | pouvoir の否定、後ろは不定形 |
| Je vais lire ce livre ce soir. | 今夜この本を読むつもりだ。 | 近接未来 |
| Il vient de finir son travail. | 彼は仕事を終えたところだ。 | 近接過去 |
| La discipline commence par les petites choses. | 規律は小さなことから始まる。 | 第1群、総称の定冠詞 |
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音読するときは、第1群の je・tu・il・ils を続けて言って、音が同じであることを耳で確かめる。綴りの違いを目で追うのではなく、音の型として入れる。
⚡ 第5章の通過チェック
- 3つの群の分け方と、第2群の見分け方を言える
- 第1群の活用を、音では3種類しかないと説明できる
- mangeons と commençons で綴りが変わる理由を言える
- aller・venir・faire・prendre・pouvoir・vouloir・devoir を6形すべて言える
- vous の形が -ez にならない3語を言える
- 近接未来と近接過去を作り、否定にできる
次章へ
主語と動詞で文の骨組みができた。次章では、その文に形容詞を足す。フランス語の形容詞は名詞の性と数に合わせて形が変わり、しかも置く位置が名詞の後ろになったり前になったりする。
位置によって意味が変わる形容詞もあり、そこは読解で効いてくる。あわせて比較級・最上級までを1つの章にまとめる。