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CHAPTER 2 導入 読む目安 約15分 / ⚡暗記ボックス 5

導入|第2章 発音と綴り字 — 書いてある形から音を出す

この章の狙い

要点: フランス語の綴りは例外だらけに見えるが、実際は「綴り字(つづりじ)を見て音を出す」方向にかぎればほぼ規則どおりに決まる。この章では、その一方向だけを固める。

フランス語を始めた人がまず止まるのは、文法ではなく音である。教科書の1行目 « Bonjour, je m'appelle… » が読めない。辞書を引いても発音記号が読めない。授業で当てられても、目の前の単語をどう声に出すか分からない。

この状態は、覚える量が足りないから起きているのではない。規則を「音から綴りへ」の向きで覚えようとするから起きる。フランス語では、同じ音を表す綴りが何通りもある。[o] という音は o とも au とも eau とも書く。この向きで覚えようとすると、規則がいくらでも増えていく。

逆向きなら話は早い。eau と書いてあれば必ず [o] と読む。 例外はない。この向きの規則は、全部合わせても2時間で読める量しかない。書き取り(綴りを当てる方向)は語彙を覚えながら少しずつ身につければよく、最初にやることではない。

だからこの章の到達点は1つだけである。初めて見るフランス語の単語を、辞書を引かずに声に出せること。 意味は分からなくてよい。

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綴りから音へ、一方向だけを固める

⊳ この節の問題を解く(1問)

英語と比べると、この一方向性の価値がはっきりする。英語の though / through / tough / cough は、綴りが似ているのに読みがすべて違う。フランス語にはこの種の不規則がほとんどない。

  • 📘 綴り字読み:綴りの並びから音を決める読み方。フランス語ではこれがほぼ例外なく通用する。

理由は歴史にある。フランス語の綴りは17世紀のアカデミー・フランセーズによって語源を重視する形で固定され、その後に発音のほうが変化した。つまり綴りが古い発音の化石になっている。語末の子音を読まないのも、かつて読んでいたものが読まれなくなり、綴りだけが残ったからである。この経緯は第20章で扱う。

覚え方の順序は次のとおりで、上から順に効く。

覚えるもの なぜ先か
1 語末の子音字を読まない ほぼ全語に効く。最も出番が多い
2 母音字の組み合わせ 語の中心の音が決まる
3 鼻母音(びぼいん) 日本語にない音で、聞き分けにも直結する
4 注意すべき子音字 c・g・s の3つだけで大半が片づく
5 語と語のつなぎ 文で読むときに初めて要る

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アルファベと5つの綴り字記号

⊳ この節の問題を解く(2問・4枚)

文字は英語と同じ26字。ただし k と w はほぼ外来語にしか出てこない。

読み方で日本語話者がつまずくのは次の5字である。

文字 読み 間違えやすい形
E ウ(口をやや丸めて) 英語式に「イー」
G ジェ 英語式に「ジー」
I 英語式に「アイ」
J 英語式に「ジェイ」
R エール(のどの奥で) 英語式に「アール」

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さらに、文字の上下に付く記号が5種類ある。これらは飾りではなく、音か語の区別を担っている

  • 📘 アクサン・テギュ:é に付く右上がりの記号。e を [e] と読ませる。
  • 📘 アクサン・グラーヴ:è à ù に付く左上がりの記号。è では [ɛ] を表し、à と ù では音ではなく語の区別を担う。
  • 📘 アクサン・シルコンフレクス:â ê î ô û に付く山形の記号。多くは、かつてそこにあった s が消えた跡である。
  • 📘 トレマ:ë ï ü に付く2つの点。直前の母音字と続けて読まず、切って読むことを示す。
  • 📘 セディーユ:ç に付く下の尾。a・o・u の前でも c を [s] と読ませる。

記号の働きを、実例で確かめる。

意味 記号の役割
a と à 「持つ」の活用形 と 前置詞「〜に」 音は同じ。綴りだけで語を区別する
ou と où 「または」 と 「どこ」 同上
foret と forêt ドリル と 森 音が違う。forêt は s が消えた跡(英語 forest)
Noel と Noël 誤り と クリスマス トレマがないと oe を1つの母音として読んでしまう
ca と ça 誤り と 「それ」 セディーユがないと [ka] になる

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⚠️ アクサンを書き落とす

  • a と à、ou と où、la と là は、記号を落とすと別の語になる。答案では減点対象になる。
  • é と è を取り違えると音が変わる。é は口を横に引いた「エ」、è は口を開いた「エ」
  • 大文字にアクサンを付けない書き方も見かけるが、現在は付けるのが標準である。

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語末の子音字は読まない

⊳ この節の問題を解く(3問・3枚)

フランス語で最も出番の多い規則がこれである。

語末の子音字は原則として読まない

  • Paris → [paʁi] 語末の s は読まない
  • petit → [p(ə)ti] 語末の t は読まない
  • grand → [ɡʁɑ̃] 語末の d は読まない
  • vous → [vu] 語末の s は読まない
  • beaucoup → [boku] 語末の p は読まない

語末の e も同じく読まない。table は [tabl]、France は [fʁɑ̃s] であって、末尾に母音は付かない。日本語の感覚で「ターブル」「フランス」と伸ばすと、余分な母音が入ってしまう。

読まれる語末子音もある。数は多くないので、まとめて覚えられる。

語末でも読まれやすい子音は c・r・f・l

  • avec [avɛk]/bonjour [bɔ̃ʒuʁ]/chef [ʃɛf]/il [il]
  • 覚え方は英語の careful に含まれる4子音。

ただし r には大きな例外があり、-er で終わる語の r は読まない。動詞の不定形(ふていけい) parler [paʁle]、名詞 boulanger [bulɑ̃ʒe]、léger [leʒe] がこれにあたる。この形は動詞の不定形すべてに関わるので、例外というより第2の規則として扱ったほうがよい。

⚠️ 語末の扱いでやりがちな間違い

  • 語末の e を「ウ」と読んでしまう(table を「ターブル」ではなく [tabl])。
  • 動詞の -er を「エール」と読んでしまう(parler は [paʁle])。
  • 複数形の s を読んでしまう。les livres の s はどちらも読まない。フランス語では、複数かどうかは音では区別できない場合が多い。

最後の点は文法にも効いてくる。le livre と les livres の違いは、名詞ではなく冠詞の音([lə] と [le])でしか分からない。冠詞を聞き取る訓練が要るのはこのためで、第3章で扱う。

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母音字の読み方

⊳ この節の問題を解く(2問・5枚)

母音は、1字のものと組み合わせのものに分けて覚える。

綴り
a, à, â [a] Paris、là、âge
i, î, y [i] il、île、style
o, ô [ɔ] または [o] port、hôtel
u, û [y] tu、sûr
é [e] été
è, ê [ɛ] père、fête
e(音節(おんせつ)の終わり) [ə] または無音 le、petit

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このうち、日本語話者にとって新しい音は [y] だけである。

  • 📘 [y] の音:u の綴りが表す母音。唇を「ウ」の形にすぼめたまま、舌は「イ」の位置に置くと出る。日本語のウでもユでもない。

tu(きみ)と tout(すべて)、rue(通り)と roue(車輪)は、この [y] と [u] の違いだけで別の語になる。この2つを取り違えると通じないので、最初に固めておく価値がある。

組み合わせのほうは数が多いが、規則性は完全である。

綴り
ou [u] vous、jour
au, eau [o] aussi、beau
ai, ei [ɛ] maison、Seine
eu, œu [ø] または [œ] deux、cœur
oi [wa] moi、trois
ui [ɥi] huit、nuit
ay, oy, uy [ɛj]、[waj]、[ɥij] pays、voyage、ennuyer

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綴りを見て音を決める(この向きだけを固める) 1字の母音 a â→ [a] Paris i î y→ [i] il, style u û→ [y] tu ※新しい音 é / è ê→ [e] / [ɛ] 組み合わせ ou→ [u] vous au eau→ [o] beau ai ei→ [ɛ] maison oi / ui→ [wa] / [ɥi] 取り違えると別の語になる3組 tu [y] / tout [u]  été [e] / était [ɛ]  peu [ø] / pou [u] 逆向き(音から綴りを当てる)は語彙を覚えながら後から身につければよい。 [o] を o とも au とも eau とも書くため、その向きの規則は際限なく増える。
母音の綴りと音の対応

取り違えやすい3組

  • u [y] と ou [u] tu / tout、rue / roue
  • é [e] と è [ɛ] été(夏)/ était(〜だった)
  • eu [ø] と ou [u] peu(少し)/ pou(しらみ)

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鼻母音 — 4つの音と、そうならない条件

⊳ この節の問題を解く(4問・4枚)

  • 📘 鼻母音:息を鼻に抜きながら出す母音。フランス語には3つ(話者によっては4つ)あり、日本語には対応する音がない。

綴りの上では「母音字 + n または m」の形で現れる。

綴り
an, am, en, em [ɑ̃] dans、chambre、enfant、temps
in, im, ain, aim, ein, yn, ym [ɛ̃] vin、simple、pain、faim、plein
on, om [ɔ̃] bon、nom、maison
un, um [œ̃] un、parfum

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un の [œ̃] は、パリを中心とする現代の話者の多くが [ɛ̃] と同じに発音する。区別しなくても通じるが、聞くときは両方あると知っておく。

重要なのは、いつ鼻母音にならないかのほうである。条件は2つある。

n・m が鼻母音を作らない2つの場合

  • n・m の直後に母音字が来るとき an [ɑ̃] だが année [ane]
  • n・m が2つ重なるとき bon [bɔ̃] だが bonne [bɔn]

この規則は文法に直結する。形容詞の女性形は e を足して作ることが多く、その e が n を「母音の前の n」に変えるので、男性形は鼻母音、女性形は鼻母音でなくなる

男性形 女性形 音の変化
bon [bɔ̃] bonne [bɔn] 鼻母音が消え、n が読まれる
américain [ameʁikɛ̃] américaine [ameʁikɛn] 同上
brun [bʁœ̃] brune [bʁyn] 同上

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「母音字 + n / m」を見つけたら、2つだけ確かめる 母音字のうしろに n または m がある その n・m のすぐ後ろに母音字があるか ある n・m が2つ重なっているか 重なる 鼻母音になる 鼻母音にならない n・m はそのまま子音で読む an [ɑ̃] / année [ane]  bon [bɔ̃] / bonne [bɔn] américain [ɛ̃] / américaine [ɛn]  brun [œ̃] / brune [yn] 形容詞の女性形は e を足すため、この規則で男性形と音が変わる。
鼻母音になるかどうかの判定

⚠️ 鼻母音の間違い

  • 「ン」を子音として付けてしまう。bon は「ボン」ではなく、口を閉じずに息を鼻へ抜く。最後に唇を閉じると別の語に聞こえる。
  • homme や ennui のように、n・m の後ろに母音があるのに鼻母音で読んでしまう。
  • 女性形でも鼻母音のまま読んでしまう。男性形と女性形が音で区別できなくなる。

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注意すべき子音字

⊳ この節の問題を解く(3問・4枚)

子音は大半が綴りどおりだが、次の3つは後ろの母音字で読みが変わる。この3つを押さえれば、子音の問題はほぼ終わる。

文字 a・o・u の前 e・i・y の前 調整の記号
c [k] café、code [s] ce、cinéma ç で a・o・u の前でも [s](français)
g [ɡ] gare、gomme [ʒ] genre、girafe ge で a・o の前でも [ʒ](mangeons)、gu で e・i の前でも [ɡ](guerre)
s [s] sac [s] si 母音に挟まれると [z](maison)。ss なら [s](poisson)

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s の規則は語の意味を分ける。poison(毒)は [pwazɔ̃]、poisson(魚)は [pwasɔ̃] である。

残りは、組み合わせで決まるものをまとめて覚える。

綴り
ch [ʃ] chat、chercher
gn [ɲ] montagne、Espagne
qu [k] qui、quatre
ph [f] photo
th [t] théâtre
ill [ij] famille、travailler
h 常に無音 homme、heure

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ill には例外が3語ある。ville、mille、tranquille は [il] と読む。この3語だけなので、そのまま覚えてしまえばよい。

h は「常に無音」だが、発音されないのに働きを持つ h がある

  • 📘 有音のh:発音はされないが、後ろの語とのつながりを拒む h。辞書では語頭に † や * の印が付く。
  • 📘 無音のh:普通の h。母音で始まるのと同じように扱われ、エリジオンとリエゾンを受ける。

l'homme(無音のh、エリジオンする)と le héros(有音のh、エリジオンしない)が典型例である。どちらかは綴りからは分からないので、辞書で確かめて語ごとに覚える。数は多くない。

r については、のどの奥(口蓋垂)を震わせて出す音で、日本語のラ行とは作り方が違う。うがいをするときの位置で、息をこすらせると近い音が出る。最初から完璧でなくてよいが、日本語のラ行で代用し続けると聞き取りのほうも伸びない。

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語と語をつなぐ3つの規則

⊳ この節の問題を解く(4問・5枚)

ここまでは単語1つの話だった。文になると、語と語の切れ目が音の上では消える。フランス語が「切れ目なく聞こえる」のはこのためである。規則は3つで、混同しやすいので違いを押さえる。

  • 📘 エリジオン:le・la・je・ne・de・que・se・ce・me・te・si などの語末の母音が、次の語が母音か無音のhで始まるとき脱落し、アポストロフで結ばれること。
  • 📘 リエゾン:単独では読まない語末の子音字が、次の語の母音とつながって発音されること。
  • 📘 アンシェヌマン:もともと発音されている語末の子音が、次の語の母音に移って一体化すること。
語と語のつなぎ方は3種類。起きていることが違う エリジオン le + homme → l'homme 母音が消える。綴りもアポストロフに変わる。 le la je ne de que se ce me te si が対象。 リエゾン les + amis → [le‿zami] 読まなかった語末の子音が復活してつながる。 s x z は [z]、d は [t]、f は [v] に変わる。 アンシェヌマン il + est → [i‿lɛ] もともと読んでいた子音が次の母音へ移るだけ。 新しい音は増えない。切れ目が消えるだけである。 してはいけないリエゾン:et の後ろ/有音のh の前/単数名詞の後ろ/主語の名詞の後ろ
3つのつなぎ方の違い

3つの違いは、次の対比で見ると分かりやすい。

規則 何が起きているか
エリジオン le + homme → l'homme 母音が消える。綴りも変わる
リエゾン les + amis → [le‿zami] 読まなかった s が復活してつながる
アンシェヌマン il + est → [i‿lɛ] すでに読んでいた l が移動するだけ

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リエゾンでは、子音の音が変わるものがある。

リエゾンでの音の変化

  • s、x、z → [z] les amis、deux ans、chez elle
  • d → [t] un grand ami [ɡʁɑ̃tami]
  • f → [v] neuf ans [nœvɑ̃]、neuf heures [nœvœʁ](この2語だけ)
  • n、t、p → そのまま on a、petit ami、trop aimable

リエゾンには、必ずするもの・してはいけないもの・どちらでもよいものがある。まず「してはいけない」を覚えるほうが安全である。しすぎるほうが目立つ誤りになるからである。

⚠️ してはいけないリエゾン

  • et の後ろ un livre et un cahier の et と un はつながない。
  • 有音のh の前 les héros はつながない(les héroïnes も同じ)。
  • 単数名詞の後ろ un enfant intelligent の enfant と intelligent はつながない。
  • 主語が名詞のとき、その後ろ Paul est… の Paul と est はつながない。

必ずするリエゾンは、まとまりとして一体になっている組だと考えると覚えやすい。冠詞や所有形容詞と名詞(les amis、mon ami)、主語代名詞と動詞(nous avons、ils ont)、前置詞と後ろの語(en avion、dans un mois)、形容詞と名詞(un petit ami)である。

⚠️ ils ont と ils sont

  • ils ont [ilzɔ̃](彼らは持っている)と ils sont [ilsɔ̃](彼らは〜である)は、リエゾンの [z] と s の [s] だけで区別する
  • 聞き分けも言い分けも、この1点にかかっている。教科書の音声で最初に確かめるべき組である。

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e muet — 落ちる e

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

  • 📘 e muet:発音されない、あるいは弱く曖昧(あいまい)に発音される e。「無音のe」とも呼ぶ。

語末の e が読まれないことはすでに見た。語の途中の e も、落ちることがある。

綴り 実際の音 落ちるか
samedi [samdi] 落ちる
petit [p(ə)ti] 落ちても落ちなくてもよい
vendredi [vɑ̃dʁədi] 落ちない(落とすと子音が3つ続く)
je ne sais pas [ʃsɛpa] とも 話し言葉では大きく落ちる

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判断の原則は1つで、落とした結果、発音しにくい子音の連続ができるなら落とさない。厳密な規則もあるが、初級のうちは「音声を聞いて、落ちているかどうかを確かめる」ほうが速い。

この e muet は、文学作品を読むときに別の意味を持つ。詩では、e muet を1音節として数えるかどうかが韻律(いんりつ)を決める。12音節の詩句(アレクサンドラン)を数えるときに必ず問題になるので、第19章でもう一度扱う。ここでは「詩を読むときには規則が変わる」とだけ覚えておけばよい。

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読む・聴く — 音を実際に確かめる

規則を読んだだけでは音は出せない。声に出して、模範の音と比べるところまでが1セットである。

この教材の音声機能の使い方

この教材のフランス語は、どこでも選択すると読み上げボタンが出る。 ブラウザの音声合成を使っているので、追加のインストールは要らない。表の行ごと選んでも、日本語の部分は読み飛ばしてフランス語だけを読む。ボタンは3つある。

ボタン 何が起きるか 使い方
読む 通常の速さで1回読む 聞く → 真似して声に出す → もう一度聞く
ゆっくり 0.7倍の速さで1回読む リエゾンや e muet の位置を確かめる
ディクテ 2秒おいてから3回繰り返す 押したら画面から目を離し、聞こえたとおりに書く

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ディクテのボタンに2秒の間があるのは、押してから画面を見ない体勢に入るためである。3回聞いて書き取り、それから画面に戻って綴りを照合する。

合成音声は、リエゾンや e muet の扱いが実際の話者と少し違うことがある。規則の確認には十分だが、生の音のリズムはそれだけでは身につかない。そのため、次の実素材と併用する。

実際のフランス語を聞く

素材 何が向くか
RFI「Journal en français facile」 学習者向けにゆっくり読まれるニュース。書き起こしが付く
InnerFrench(ポッドキャスト) B1程度の話し言葉。話題が単調でなく続けやすい
France Culture 通常速度の議論。3年次以降の目標
Arte(仏独共同のテレビ局) 映像つき。字幕をフランス語に切り替えて使う

はじめのうちは、全部聞き取ろうとしない。1分の音声を選び、聞こえた語だけを書き出す。次に書き起こしと突き合わせる。聞こえなかった語が、綴りは知っている語だったという経験を積むのが目的である。

この章の音で読む

⊳ この節の問題を解く(1問)

まず、規則の確認用に短い文を並べる。以下は本教材で作成した例文である。

フランス語 意味 確認する規則
Vous avez raison. あなたは正しい。 vous と avez のリエゾン [vuzave]
Les amis de Paul sont ici. ポールの友人たちがここにいる。 les amis のリエゾン、Paul の後ろは切る
Il est huit heures. 8時だ。 il est のアンシェヌマン、huit heures のリエゾン
C'est un bon exercice. それはよい練習だ。 エリジオン、bon の鼻母音、リエゾン
La discipline est plus fiable que la motivation. 規律は意欲より当てにできる。 discipline の語末 e、plus の s

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次に、実際の文学作品で確かめる。ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine, 1844-1896)の「秋の歌」(Chanson d'automne, 1866)の冒頭で、e muet と鼻母音がどちらも出てくる。著作権はすでに切れている。

原文 逐語の意味
Les sanglots longs 長いすすり泣きが
Des violons ヴァイオリンの
De l'automne 秋の

sanglots の語末の s と t は読まない。longs の g も s も読まない。violons と automne はどちらも n を含むが、鼻母音になるのは violons だけである。automne は n の後ろに e があるうえ、この語では m も n も読まれない特殊な形で、[otɔn] となる。こうした語が出てきたときに「規則の例外だ」と処理せず、辞書で発音を確かめる習慣を作っておく。

この3行は第19章で、今度は音節の数え方の教材として読み直す。

第2章の通過チェック

  • 初めて見る単語を、辞書を引かずに声に出せる
  • u [y] と ou [u]、é [e] と è [ɛ] を言い分けられる
  • 鼻母音になる条件と、ならない2つの条件を言える
  • エリジオン・リエゾン・アンシェヌマンの違いを、例を挙げて説明できる
  • してはいけないリエゾンを4つ言える
  • ils ont と ils sont を聞き分けられる

▲ この章の内容へ

次章へ

ここまでで、書いてある形から音を出せるようになった。次章からは、その音を意味のある文にしていく。

最初に扱うのは名詞と冠詞である。フランス語ではすべての名詞に男性・女性の区別があり、冠詞がそれに従って形を変える。この章で見たとおり、複数形の s は音では聞こえないので、単数か複数かは冠詞の音でしか分からない。発音の規則がそのまま文法の聞き取りに直結する場所である。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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