🧭全体地図📘フランス語
3 / 26
CHAPTER 3 文の骨組み 読む目安 約10分 / ⚡暗記ボックス 4

文の骨組み|第3章 名詞と冠詞 — 性・数と、3種類の冠詞

この章の狙い

要点: フランス語の名詞は、ほとんどの場合そのままでは文に入れられない。冠詞などの限定詞を必ず伴う。だから問題は「冠詞を付けるかどうか」ではなく「3つのうちどれを付けるか」になる。

日本語には冠詞がない。英語には a と the があるが、フランス語にはもう1つ、部分冠詞という第3の種類がある。しかも冠詞は名詞の性と数に合わせて形を変える。この2つが重なるので、最初にまとめて整理しておく価値がある。

この章を終えると、辞書で引いた名詞を、正しい冠詞と正しい複数形で文に置けるようになる。第2章で見たとおり複数形の s は音では聞こえないので、冠詞は聞き取りの手がかりでもある。

▲ この章の内容へ

名詞には性がある

⊳ この節の問題を解く(3問・3枚)

すべての名詞が男性名詞か女性名詞のどちらかに属する。生き物でなくても属する。

  • 📘 名詞の性:フランス語のすべての名詞が持つ、男性・女性のいずれかの区分。冠詞・形容詞・代名詞の形がこれに従う。

le livre(本)は男性、la table(テーブル)は女性である。意味からは決まらないので、覚えるしかない。ただし語尾に手がかりがある。

語尾
-tion, -sion 女性 la nation、la décision
-té, -tié 女性 la liberté、l'amitié
-ure, -ude 女性 la culture、l'habitude
-ette, -elle 女性 la fourchette、la nouvelle
-ment 男性 le gouvernement、le moment
-eau, -ou 男性 le bureau、le bijou
-age 男性 le voyage、le fromage
-isme, -ien 男性 le réalisme、le musicien

← 横に動かして読めます →

-age で終わる女性名詞(la page、la plage、l'image)のように例外はあるが、手がかりがあるだけで暗記の量はかなり減る

名詞は冠詞ごと覚える

  • ✕ livre=本 → ○ un livre=本
  • 単語帳に名詞を書くときは、必ず冠詞を付けた形で書く。性を別に覚え直すことがなくなる。
  • 辞書では男性名詞が n.m.、女性名詞が n.f. と示される。

性が意味を分ける語もある。数は少ないが、どれも頻出語である。

男性 意味 女性 意味
le livre la livre ポンド(重さ・通貨)
le tour 一周、順番 la tour
le mode 方法、(文法の)法 la mode 流行
le poste 職、ポスト la poste 郵便局
le page 小姓 la page ページ

← 横に動かして読めます →

⚠️ 性でやりがちな間違い

  • 日本語の感覚で「大きいものが男性」のように意味から決める。決まらない。
  • 覚えるときに冠詞を落とす。後から性だけを覚え直すことになる。
  • 母音で始まる名詞で性を見失う。l'homme も l'heure も同じ l' なので、辞書で確認する

▲ この章の内容へ

複数形の作り方

⊳ この節の問題を解く(3問・2枚)

原則は語末に s を足すだけである。ただし第2章のとおり、この s は発音しない

作り方
原則 +s livre → livres
-s, -x, -z で終わる そのまま le fils → les fils、le prix → les prix
-eau, -eu で終わる +x le bureau → les bureaux、le jeu → les jeux
-al で終わる -aux le journal → les journaux、l'animal → les animaux
-ail の一部 -aux le travail → les travaux

← 横に動かして読めます →

不規則なものは数語しかない。l'œil → les yeux(目)、monsieur → messieurs、madame → mesdames。

複数は音で聞こえない

  • livre と livres は同じ音。単数か複数かは冠詞の音で決まる([lə] / [le]、[œ̃] / [de])。
  • だから聞き取りでは、名詞より先に冠詞を聞く。

▲ この章の内容へ

3種類の冠詞

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

冠詞は3種類ある。それぞれ男性単数・女性単数・複数で形が変わる。

男性単数 女性単数 複数
不定冠詞 un une des
定冠詞 le(l') la(l') les
部分冠詞 du(de l') de la(de l')

← 横に動かして読めます →

  • 📘 不定冠詞:聞き手にとって初めて出てくる、特定されていない「1つの/いくつかの」を示す冠詞。
  • 📘 定冠詞:どれを指すか決まっているもの、種類全体、唯一のものに付く冠詞。
  • 📘 部分冠詞:数えずに量として捉えるものに付く冠詞。英語にはない種類である。

母音または無音のhで始まる名詞の前では、le と la が l' になる(エリジオン)。de l' も同じ理由でできる形である。

2つの問いで、3種類のどれかに決まる 数えるか、量として捉えるか どれを指すか決まっているか 決まっている 決まっていない 定冠詞 le / la / les 不定冠詞 un / une / des 部分冠詞 du / de la J'aime le café.  Je voudrais un café.  Je bois du café. 同じ名詞でも、動詞と場面で3つとも起こりうる。 否定文では、不定冠詞と部分冠詞だけが de に変わる(定冠詞と être の後は変わらない)。
冠詞の選び方

選び方は2つの問いで決まる。

冠詞を選ぶ2つの問い

  • 1. 数えるか、量として捉えるか。 量なら部分冠詞(du pain)。
  • 2. どれを指すか決まっているか。 決まっていれば定冠詞(le pain que j'ai acheté)、決まっていなければ不定冠詞(un pain)。

▲ この章の内容へ

定冠詞の3つの用法

⊳ この節の問題を解く(1問・2枚)

定冠詞は「the」と同じだと考えると、フランス語では足りない。用法が3つある。

用法 説明
特定されたもの Ferme la porte. どの扉かは場面で決まっている
種類の全体(総称) J'aime le café. コーヒーというもの全般
唯一のもの le soleil、la France ほかにない

← 横に動かして読めます →

2つ目が英語と大きく違う。好き嫌いを言う動詞(aimer、adorer、détester、préférer)のあとは、必ず定冠詞になる。

意味
J'aime le café. 私はコーヒーが好きだ(コーヒーというもの全般)
Je bois du café. 私はコーヒーを飲む(ある量のコーヒー)
Je voudrais un café. コーヒーを1杯ください(1杯という単位)

同じ名詞でも、動詞と場面で冠詞が変わる。この3文の対比が、この章でいちばん大事な区別である。

▲ この章の内容へ

部分冠詞 — 数えない量

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

数えられないもの、または数えずに量として捉えるものに付く。

du pain パン(いくらかの)
de l'eau
de la viande
du courage 勇気
de la patience 忍耐

抽象名詞にも使う。Il a du courage.(彼には勇気がある)は、勇気を量として捉えている。

活動を表す faire + 部分冠詞 の形も頻出である。

表現 意味
faire du sport スポーツをする
faire de la musique 音楽をやる
faire du français フランス語を勉強する

⚠️ 部分冠詞でやりがちな間違い

  • 数えられる名詞に部分冠詞を付ける。un livre であって du livre ではない。
  • 「〜が好き」に部分冠詞を使う。J'aime du café. は誤りで、J'aime le café. が正しい。
  • 部分冠詞に複数形があると考える。部分冠詞に複数形はない。複数で漠然とした数を言うときは不定冠詞の des を使う。

▲ この章の内容へ

否定の de

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

否定文では冠詞が変わる。これはフランス語の初級でつまずく点の1つである。

否定の de

  • 直接目的語に付いた不定冠詞・部分冠詞は、否定文で de(d') になる。
  • J'ai un frère. → Je n'ai pas de frère.
  • Je bois du café. → Je ne bois pas de café.
  • Il y a des livres. → Il n'y a pas de livres.

変わらない場合が2つある。ここを混同すると誤りになる。

変わらない場合
定冠詞のとき J'aime le café. → Je n'aime pas le café.
être の後(属詞)のとき C'est un livre. → Ce n'est pas un livre.

⚠️ 否定の de の間違い

  • 定冠詞まで de に変えてしまう。Je n'aime pas de café. は誤り。
  • être の後でも de にしてしまう。Ce n'est pas de livre. は誤り。
  • 「ない」ことを言っているのに冠詞をそのままにする。Je n'ai pas un frère. は、「1人ではない」という特別な意味になってしまう。

▲ この章の内容へ

des が de になるとき

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

形容詞が名詞のに置かれると、複数の不定冠詞 des は de になる。

形容詞が後ろ des livres intéressants
形容詞が前 de beaux livres、de grandes maisons

これは書き言葉での規則で、話し言葉では des のまま言うことも多い。答案やレポートでは de に直す。形容詞の位置については第6章で扱う。

▲ この章の内容へ

提示表現 — c'est と il y a

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

名詞を初めて話題に出すときの型が3つある。

使い方
c'est / ce sont これは〜だ、と示す C'est un livre./Ce sont des étudiants.
il y a 〜がある、いる Il y a un chat dans le jardin.
voici / voilà ここに/そこに〜がある Voici mon livre./Voilà la gare.

← 横に動かして読めます →

c'est と il est の使い分けは、初級で最も間違えやすい点の1つである。

後ろに来るもの
C'est + 冠詞つき名詞 冠詞が要る C'est un étudiant.
Il est + 職業・国籍 冠詞を付けない Il est étudiant./Elle est française.

← 横に動かして読めます →

⚠️ 提示表現の間違い

  • Il est un étudiant. と言ってしまう。職業・身分・国籍を il est で言うときは無冠詞。
  • il y a の否定で冠詞を残す。Il n'y a pas de chat が正しい。
  • ce sont を忘れて c'est を複数にも使う。書き言葉では Ce sont des étudiants. と直す。

▲ この章の内容へ

読む・聴く

⊳ この節の問題を解く(1問)

まず、この章の文法だけで書いた文を音にする。以下は本教材で作成した例文である。

フランス語 意味 確認する点
C'est un livre intéressant. これは面白い本だ。 不定冠詞、c'est の後は冠詞つき
J'aime le sport et la musique. 私はスポーツと音楽が好きだ。 好き嫌いの動詞の後は定冠詞
Je fais du sport tous les jours. 私は毎日スポーツをする。 活動の faire + 部分冠詞
Il n'y a pas de café à la maison. 家にコーヒーがない。 否定の de
La discipline est une habitude. 規律は習慣である。 総称の定冠詞、属詞の不定冠詞

← 横に動かして読めます →

次に、実際に目にする形で確かめる。フランスのカフェや店で使われる表現には、この章の3つの冠詞がそのまま出てくる。

表現 どの冠詞か
un café, s'il vous plaît 不定冠詞(1杯という単位)
de l'eau, s'il vous plaît 部分冠詞(量)
l'addition, s'il vous plaît 定冠詞(この席の勘定と決まっている)

同じ「〜をください」でも冠詞が3種類とも出る。冠詞は文法の飾りではなく、話し手が対象をどう捉えているかを示す部分だと分かる例である。

第3章の通過チェック

  • 名詞の性の手がかりになる語尾を、男性・女性それぞれ3つ言える
  • 複数形の作り方を5つの型で言える
  • 3種類の冠詞の形を、男性単数・女性単数・複数まで書ける
  • J'aime le café. / Je bois du café. / Je voudrais un café. の違いを説明できる
  • 否定の de になる場合と、ならない2つの場合を言える
  • C'est un étudiant. と Il est étudiant. の違いを言える

▲ この章の内容へ

次章へ

名詞を冠詞つきで置けるようになったので、次はそれを主語にして文を作る。次章では主語人称代名詞と、être・avoir の現在形、そして否定文と疑問文の作り方を扱う。

この2つの動詞は、それ自体が頻出であるだけでなく、第11章の複合過去で助動詞として使う。ここでの活用が、後の章の土台になる。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

この章の問題を解く ▶
🧭全体地図へ戻る