🧭全体地図📘作品と作家
GLOSSARY 本文の 📘 を章の順に並べたもの(41語)

用語集

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導入 第1章 全体地図 — 作品をどう読むか

作品の中で起きたことを、そのまま順に述べたもの。読んだ人なら誰でも同じように書ける。

作品が何を意味するか、なぜそう書かれているかについての読み。根拠を示して主張するもので、人によって割れる。

中世 第2章 『ロランの歌』— 忠誠と名誉の過剰

騎士の戦いと忠誠を語る長編の韻文。吟遊詩人(ぎんゆうしじん)が節をつけて語った。

武勲詩の詩行のまとまり。長さは一定でなく、同じ母音を各行の末尾にそろえる(アソナンス)。

同じ出来事を、レスを変えて2度3度と語り直す技法。耳で聞く聞き手のための繰り返しである。

16世紀 第3章 モンテーニュ『エセー』— 判断を保留する

(Michel de Montaigne, 1533-1592):ボルドー近郊の領主の家に生まれ、法官を務めたのち引退して『エセー』を書いた。

「試み」を意味するフランス語。モンテーニュがこの語を書物の題に使ったことで、ジャンルの名前になった。

17世紀 第4章 ラシーヌ『フェードル』— 望まない情念

(Jean Racine, 1639-1699):古典主義悲劇を完成させた劇作家。幼くして両親を失い、ポール=ロワイヤルで教育を受けた。

人間の自由意志を厳しく制限し、神の恩寵(おんちょう)がなければ人は救われないとする宗教的立場。ポール=ロワイヤルがその拠点だった。

舞台で見せられない出来事を、登場人物が語って伝える場面。テラメーヌの報告は、フランス古典悲劇で最も有名な例である。

17世紀 第5章 モリエール『タルチュフ』— 偽りの信心

(Molière, 1622-1673):本名ジャン=バティスト・ポクラン。俳優・座長・劇作家を兼ね、自分の一座のために書いて自分で演じた。

物語の内部の論理では解決できない事態を、外部からの介入で強引に収める手法。古代演劇に由来する語。

18世紀 第6章 モンテスキュー『ペルシア人の手紙』— 外から見る

(Montesquieu, 1689-1755):ボルドー近郊の貴族。法官を務めたのち、制度を比較して考える方法を確立した。

登場人物が書いた手紙を並べる形式。当事者の言葉だけで進み、読者が突き合わせて判断する。

18世紀 第7章 ヴォルテール『カンディード』— 楽天主義の反駁

(Voltaire, 1694-1778):本名フランソワ=マリー・アルエ。18世紀で最も広く読まれ、最も戦った作家。悲劇・歴史・書簡・小説とあらゆる形式で書いた。

思想を伝えるために書かれた短い物語。筋や人物の厚みより、考えを試すことが目的である。

言っていることと意図していることがずれている状態。『カンディード』では、語りの平静さがそのまま皮肉になる。

18世紀 第8章 ルソー『告白』— すべてを語ると宣言する

(Jean-Jacques Rousseau, 1712-1778):ジュネーヴ生まれ。思想家・作家・音楽家。啓蒙(けいもう)の陣営にいながら、その前提を批判した。

自分の生涯を、自分で、事実として語る散文の作品。『告白』が近代の自伝の出発点とされる。

18世紀 第9章 ラクロ『危険な関係』— 手紙という武器

(Choderlos de Laclos, 1741-1803):職業軍人。砲兵将校として生涯を送り、小説はこの1作だけである。

語り手の言うことをそのまま信じられない状態。書簡体では、書き手が嘘を書いている可能性を読者が常に考えることになる。

19世紀 第10章 ユゴー『レ・ミゼラブル』— 法と正義のずれ

(Victor Hugo, 1802-1885):詩・小説・戯曲のすべてで頂点に立った作家。政治家でもあり、19世紀フランス文学の中心人物である。

19世紀 第11章 スタンダール『赤と黒』— 上がる道を探す

(Stendhal, 1783-1842):本名アンリ・ベール。ナポレオン軍に従軍し、イタリアを愛した。生前の評価は低かった。

語り手が物語を中断して、意見や説明を述べること。スタンダールでは、これが皮肉として働く。

19世紀 第12章 バルザック『ゴリオ爺さん』— 金が作り変えるもの

(Honoré de Balzac, 1799-1850):約90篇の小説を1つの体系にまとめようとした作家。膨大な借金を抱え、猛烈な速度で書き続けた。

バルザックが自作の小説群に与えた総題。社会全体を、生物の種の分類のように記述するという構想による。

同じ人物を複数の作品に登場させる手法。作品をまたいで1つの社会ができあがる。

19世紀 第13章 フローベール『ボヴァリー夫人』— 読書が作る欲望

(Gustave Flaubert, 1821-1880):文体に極端な労力を注いだ作家。1つの文を何日も推敲(すいこう)した。

登場人物の言葉や思考を、引用符も「〜と思った」も付けずに地の文に組み込む書き方。誰の声なのかが揺らぐ。

作者が作品の中で意見を述べないこと。「作者は神のように、どこにでもいて、どこにも見えない」という書き方をフローベールは目指した。

19世紀 第14章 ボードレール『悪の華』— 都市と悪の詩学

(Charles Baudelaire, 1821-1867):詩人・美術批評家・翻訳者。近代詩の出発点とされる。

色・音・香りが互いに対応し、目に見える世界の背後にある統一を指し示すという考え。象徴主義の出発点になる。

19世紀 第15章 モーパッサン『脂肪の塊』— 偽善の構造

(Guy de Maupassant, 1850-1893):短編の名手。300篇を超える短編と、6篇の長編を残した。

20世紀 第16章 プルースト『失われた時を求めて』— 時間を書く

(Marcel Proust, 1871-1922):『失われた時を求めて』を書いた作家。病弱で、後半生を部屋にこもって執筆に費やした。

意識的に思い出そうとせず、感覚の偶然の一致によってよみがえる記憶。この作品の中心概念。

20世紀 第17章 ブルトン『ナジャ』— 偶然と狂気

(André Breton, 1896-1966):シュルレアリスムの中心人物。詩人であり、運動の理論家であり、組織者でもあった。

外から見れば偶然にすぎない出来事が、当人の内的な欲望と正確に符合すること。シュルレアリスムの中心概念の1つ。

20世紀 第18章 カミュ『異邦人』— 不条理の文体

(Albert Camus, 1913-1960):アルジェリア生まれ。貧しい家庭に育ち、抵抗運動の新聞に関わった。1957年にノーベル文学賞。

世界には意味がないのに、人間は意味を求めてしまう——そのずれそのものを指すカミュの概念。世界が無意味だという主張ではない。

20世紀 第19章 不条理の演劇 — ベケットとイヨネスコ

1950年代のパリで上演された、筋・人物・言葉の通常の約束を壊した演劇の総称。後から与えられた呼び名であり、作家たちが名乗ったものではない。

現代 第20章 モディアノ『暗いブティック通り』— 消えた過去を探す

(Patrick Modiano, 1945- ):占領期のパリと、そこで消えた人々を繰り返し書く作家。2014年にノーベル文学賞。

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