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CHAPTER 20 実践 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 12

実践|第20章 卒論で理論を使う

この章の狙い

要点: 枠組みをどう選び、どう書き、どこで失敗するか。

07の領域が扱った論の立て方の上に、この教材の内容をどう載せるか。具体的な手順と、実際によく起きる失敗を並べる。

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枠組みを選ぶ手順

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

5段階

  • 1. 作品を読み、引っかかりを記録する(07の領域)。まだ枠組みは考えない。
  • 2. 引っかかりを疑問文にする。問いを1行にする。
  • 3. 問いの種類を判定する。語りの問題か、社会の問題か、読者の問題か(第1章の対応表)。
  • 4. その種類を扱える枠組みを、早見表から選ぶ。
  • 5. 選んだ枠組みの入門書を1冊読み、術語を3つに絞る。

⚠️ 順序を逆にしない

  • 枠組みを先に決めて作品を探すと、結論が最初から決まる(第1章)。
  • 「◯◯理論で卒論を書きたい」という発想は、この点で危うい。
  • 「この作品のこの箇所が説明できない」から始める。

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序論に書くこと

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

07の領域の序論の4要素に、枠組みの説明を加える。

6文の型

  • 1. 対象を示す。作品と版(07の領域)。
  • 2. 問いを示す。
  • 3. 先行研究の中での位置。
  • 4. 用いる枠組みを1つ挙げ、誰の定義かを示す。
  • 5. 範囲を限定する。「本稿は、この枠組みを〜の分析にのみ用いる。」
  • 6. 扱えないことを明示する。「〜については、本稿では扱えない。」

5と6が、批判への先回りになる(第18章)。各1文で足りる。

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本論の組み立て

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

推奨する形

  • 第1章 前提の確認。版・作品の成立事情・術語の定義。
  • 第2章 記述。数えられる形で、テクストの事実を確定する。枠組みの適用はまだしない。
  • 第3章 分析。枠組みを当て、記述の意味を論じる。
  • 第4章 総合。問いに答える。
  • この形なら、第2章が誰にでも検証できる土台になる。

⚠️ よくある崩れ方

  • 第1章が理論の紹介で埋まる。入門書の要約は要らない。必要な術語の定義だけでよい。
  • 記述と分析が混ざる。「〜が◯回現れる、これは〜を意味する」を同じ段落に書くと、記述が検証できなくなる。
  • 作品の引用が少ない。枠組みの説明が長く、テクストが薄い(第18章の批判)。
2万字の配分。記述と分析を同じ量にする 序論 2,000字  対象・問い・先行研究・枠組み・範囲の限定・扱えないこと 前提の確認 2,500字  版・成立事情・術語の定義 記述 5,500字  数えた結果・表・引用。枠組みはまだ当てない 分析 5,500字  枠組みを当て、記述の意味を論じる 総合 2,500字  問いに答える 結論 2,000字  まとめ・限界・今後 記述の章は誰にでも検証できる土台になる。記述と分析を同じ段落に混ぜない。
枠組みを使う卒論の構成

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よくある失敗と直し方

⊳ この節の問題を解く(1問)

失敗 直し方
術語を定義せずに使う 最初に定義する。誰の定義かを示す
枠組みを3つ以上使う 主1つ、補助1つまで(第1章)
「この作品は◯◯である」で終える どの箇所の、どういう仕組みでそうなのかを書く
結論が枠組みから予測できる 予想を裏切る箇所を探す(第1章)
理論に合わない部分を無視する 合わない部分を書く。それが作品固有のものにあたる
作者の意図を推定する テクストの記述にとどめる(第2章・第7章)
数を示さない 総数と分布を示す(07の領域)
版を明記しない 最初の注で示す(07の領域)

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分量の配分

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

2万字の卒論で、枠組みを使う場合の目安。

部分 字数 内容
序論 2,000 6文の型を展開する
前提の確認 2,500 版・成立事情・術語の定義
記述 5,500 数えた結果、表、引用
分析 5,500 枠組みの適用
総合 2,500 問いへの答え
結論 2,000 まとめ・限界・今後

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記述と分析を同じ分量にする

  • 記述が薄いと、分析が浮く。
  • 分析が薄いと、資料の整理で終わる。
  • 半々を目安にすると、両方が支え合う。

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口頭試問で問われること

⊳ この節の問題を解く(1問)

想定される5つの質問

  • なぜこの枠組みを選んだのか。他の枠組みでは何が説明できないのか。
  • この枠組みの限界は何か。(第18章の批判に答える)
  • 数えた基準は何か。何を数え、何を数えなかったか。
  • 理論に合わない箇所はなかったか。
  • 版はなぜこれを使ったのか。(07の領域)

答え方

  • 1つ目と2つ目は、序論の5・6文目がそのまま答えになる。
  • 3つ目は、本論の記述の章に書いてある。
  • 4つ目は、書いてあれば強い。書いていなければ「そこは扱えていない」と正直に言う(07の領域)。

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この教材を終えて

20章で扱ったのは、すべて道具である。

最後に残る3つ

  • 問いが先、枠組みが後。
  • 記述を先に固め、そのあとで意味づける。
  • どの枠組みも、何かを見えなくする。それを明示することが誠実さになる。

他の領域とのつなぎ方

知りたいこと 開く領域
問いの立て方・引用と注・精読の手順 文学研究の方法(07)
概念の中身と、その履歴 思想・哲学(04)
その時代に何が起きていたか フランス史(03)
その時代にどんな作品が書かれたか フランス文学史(02)
個々の作品の中身 作品と作家(10)
どの枠組みで読むか この教材(08)

「理論を使わない読み」というものはない(第18章)。使っていることに気づいていないだけである。気づき、明示し、限定して使うこと——それがこの教材の結論にあたる。

⚠️ この章で混同しやすい形

  • 枠組みを先に決めてから作品を探す。順序が逆である。
  • 序論で理論の紹介をする。必要な術語の定義だけでよい。
  • 記述と分析を混ぜる。記述が検証できなくなる。
  • 理論に合わない部分を書かない。そこが作品固有のものにあたる。

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提出前チェック

07の領域のチェックリストに、この教材の分を加える。

枠組みについての7項目

  • 用いる枠組みを1つに絞り、序論で明示したか
  • 誰の定義かを示したか
  • 範囲の限定と、扱えないことを1文ずつ書いたか(第18章)
  • 術語を3つ以内に抑えたか
  • 記述の章と分析の章を分けたか
  • 数えた基準を書いたか(07の領域)
  • 理論に合わない箇所を書いたか

07の領域と合わせて

  • 序論の問いと結論の答えが対応しているか
  • 引用がすべて原文と一致しているか
  • 注に出た文献が参考文献一覧にあるか
  • 版を明記したか

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参考文献をどう選ぶか

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

枠組みを使うときの構成

  • 理論の原典1〜2点でよい。該当する概念の箇所だけ。
  • 入門書 — 1点。位置づけのため。
  • その枠組みで書かれた実際の分析2〜3点。最も重要にあたる。当て方が学べる。
  • 作品についての先行研究 — 5〜10点。枠組みとは別に必要(07の領域)。
  • 一次資料 — 使った版(07の領域)。

⚠️ やりがちな失敗

  • 理論の原典と入門書ばかりで、作品の先行研究が薄い。
  • 枠組みを使った分析の実例を読んでいない。定義だけでは当て方は分からない(第1章)。
  • 孫引き(07の領域)。理論の概念を、入門書からの引用で済ませる。

配分の目安

  • 理論に関する文献が、参考文献全体の3分の1を超えたら多すぎる。
  • 卒論は作品についての論文であって、理論についての論文ではない。

第20章の通過チェック

  • 枠組みを選ぶ5段階を言え、順序を逆にしない理由を言える
  • 序論の6文の型を言い、どの2文が批判への先回りかを言える
  • 本論の4章構成を言い、第2章が果たす役割を言える
  • よくある失敗を6つ挙げ、直し方を言える
  • 記述と分析を同じ分量にする理由を言える
  • 口頭試問で想定される質問を5つ言える
  • この教材の結論となる3つを言える
読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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