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CHAPTER 3 近世 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 9

近世|第3章 16世紀 — イタリアからの流入と城館

この章の狙い

要点: 16世紀の芸術は、イタリアからの流入で大きく変わる。

遠近法、人体の表現、古代の建築の規則。これらが理論書と職人とともに入ってきた。そして「規則に従って作る」という考え方が定着し、17世紀の古典主義を準備する。

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年表

出来事
1494年〜 イタリア戦争。軍事的には得るものが少なく、文化的な影響は大きい(03の領域)
1515年 フランソワ1世が即位
1516年 レオナルド・ダ・ヴィンチがフランスへ招かれる(1519年に死去)
1519年 シャンボール城の建設が始まる
1520年代〜 ロワール地方に城館が建てられる
1530年代 フォンテーヌブロー城の装飾。イタリアの画家が招かれる
1540年代 建築の理論書がフランス語に訳される
1546年 ルーヴル宮の改築が始まる
16世紀後半 宗教戦争により、建設と制作が停滞する(03の領域)

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何が入ってきたか

⊳ この節の問題を解く(1問)

4つの流入

  • 遠近法 — 一点に消失する線遠近法。画面の中に奥行きの秩序を作る。
  • 人体の表現 — 古代彫刻に学んだ比例と姿勢。
  • 古代の建築の規則 — 柱の様式(オーダー)、左右対称、比例。
  • 理論書建築と絵画の規則を言葉で書いた書物。フランス語訳が出て、規則が共有される。
  • 📘 オーダー:古代の建築における柱と梁(はり)の組み合わせの様式のこと。ドリス・イオニア・コリントなどの種類があり、それぞれに比例の決まりがある。

理論書が入ることの意味

  • 作り方が、職人の経験から、書かれた規則へ移る。
  • 規則があれば、正しさを議論できる。批評の言葉が生まれる素地にあたる。
  • 同じことが文学でも起きる。詩法の規則が書かれ、論じられるようになる(07の領域の詩法)。
  • 17世紀の古典主義は、この延長にある(第4章)。

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城館

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

ロワール地方の城館が、この時期の建築を代表する。

変化の中身

  • 防御のための城から、住むための館へ。堀と塔が装飾になる。
  • 左右対称の平面。イタリアの影響。
  • 大きな窓。採光が重視される。
  • 庭園が建物と一体で設計される。
  • ただしゴシックの要素も残る。急勾配の屋根、垂直の強調。混在が16世紀の特徴にあたる。
  • 📘 シャンボール城:1519年に建設が始まった大規模な城館。中央の二重らせん階段が知られている。イタリア風の平面と、フランス風の屋根が同居している。

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フォンテーヌブローの装飾

⊳ この節の問題を解く(1問)

何が新しかったか

  • イタリアから画家と装飾家が招かれ、工房が作られた。
  • 絵画と漆喰(しっくい)の彫刻と額縁を組み合わせた装飾が生まれた。
  • 神話を主題にした裸体の表現が広まる。
  • 版画によって、この様式が各地に伝わった。版画は当時の複製技術にあたる。

⚠️ 「フォンテーヌブロー派」という呼び名

  • 後の時代の整理による名前である(第1章の様式の注意)。
  • 統一した集団があったわけではない。
  • 第1期と第2期に分けられることが多いが、区分にも幅がある。

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版画という技術

  • 📘 版画:版を作り、紙に刷る技術のこと。同じ図像を多数複製できる。

なぜ重要か

  • 図像が移動する。イタリアの絵が、版画によってフランスの職人に届く。
  • 書物の挿絵になる。印刷術と結びつく(03の領域)。
  • 安価に手に入る。絵画を買えない層にも図像が届いた。
  • 文学との関係挿絵つきの書物が広まり、読書の形が変わる。

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制度と条件

項目 内容
注文主 王と宮廷が中心。大貴族も館を建てる
作り手 イタリアから招かれた芸術家と、フランスの職人
宮廷。まだ公開の展覧会はない
理論 書物によって規則が共有される
中断 宗教戦争が建設と制作を止めた(03の領域)

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文学とのつながり

16世紀の作品を読むときに要る背景

  • 古代への回帰 — 人文主義(04の領域)が、美術でも文学でも同じ方向に働いた。古代を範として、規則を学ぶ。
  • プレイヤード派 — 詩をフランス語で書くという主張は、イタリアとの関係で自国語の地位を上げるという文脈にある(02の領域)。
  • 描写の技術 — 遠近法と人体の表現は、空間と身体をどう言葉にするかという問題と並行する。
  • 『エセー』の視覚 — モンテーニュの記述には、対象を多面的に見る態度がある。同時代の絵画の空間の扱いと重ねて論じられることがあるが、比喩にとどめる(08の領域)。

⚠️ この時代で混同しやすい形

  • イタリアの影響を、全面的な置き換えと考える。ゴシックの要素は残り、混在するのが16世紀の特徴にあたる。
  • オーダーを装飾と考える。比例の決まりを含む体系である。
  • 「フォンテーヌブロー派」を統一した集団と考える。後の時代の整理による名にあたる。
  • 版画を美術の一分野としてだけ考える。図像を移動させる複製技術としての役割が大きい。

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版画と印刷

⊳ この節の問題を解く(2問・2枚)

16世紀に、図像の流通の仕方が変わる。

版画が果たした役割

  • 同じ図像を複数作れる。一点ものだった絵画と、性質が根本から違う。
  • 遠くの作品を知ることができる。イタリアの作品が、版画によってフランスに伝わった。
  • 建築の図面と装飾の型が版画で広まる。
  • 本の挿絵として使われる。文字と図像が同じ本の中に入る。

文学とのつながり

  • 本の作り方が変わる。印刷された本が、写本に代わっていく(第2章)。
  • 扉(とびら)の装飾、著者の肖像、寓意(ぐうい)の図。本の中の図像が、作品の読まれ方に関わる。
  • 同じ図像が繰り返し使われる。在庫の版木を使い回すことがあった。
  • したがって挿絵が本文と対応しない場合がある(07の領域)。

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宮廷と詩人

⊳ この節の問題を解く(2問・2枚)

芸術と文学が同じ場にいた

  • 宮廷は、絵画・建築・音楽・詩が同時に注文される場にあたる。
  • 祝祭・入市式・婚礼のために、装飾と詩と音楽がまとめて作られた。
  • 詩人が、絵画や建築の主題を提案することがあった。
  • したがってこの時期は、第19章の型4(制度)が最もよく当てはまる。

⚠️ 宮廷の注文を「趣味」と考えない

  • 注文には政治的な意図がある。王の権威を示すこと。
  • 図像の主題が、統治の主張になっている場合が多い。
  • 同じ主張が、詩と絵画と建築で同時に繰り返される。
  • これは第4章のヴェルサイユで、より大きな規模で反復される。

第3章の通過チェック

  • イタリアから入ってきた4つを言える
  • 理論書が入ることの意味を3つ言える
  • 城館の変化の中身を4つ言え、ゴシックの要素が残ることを言える
  • フォンテーヌブローの装飾の新しさを3つ言える
  • 版画がなぜ重要かを4つ言える
  • 16世紀の芸術が宗教戦争でどうなったかを言える
  • 美術の古代への回帰と、文学の人文主義の並行を説明できる

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次章へ

次章は17世紀である。規則が制度になる。

王立のアカデミーが設立され、何が正しい絵画かを定める。そしてヴェルサイユが作られる。建築・庭園・絵画・彫刻・音楽・演劇が、1つの目的のために組織された例にあたる。文学もその中にあった。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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