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CHAPTER 12 19世紀 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 11

19世紀|第12章 建築と都市 — 鉄・ガラス・パリ大改造

この章の狙い

要点: パリという都市そのものが、19世紀に作り直される。

鉄とガラスという新しい材料、大通りと上下水道、万国博覧会の建造物。そして都市の改造が、文学の主題そのものになる。同じ通りを、小説と詩と絵画が扱っている。

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年表

出来事
1820〜30年代 屋根つきの商店街(パサージュ)が造られる
1840年代〜 鉄道の駅が建てられる。鉄とガラスの構造
1840年代〜 中世建築の修復事業が本格化する(第2章・第7章)
1853〜1870年 パリ大改造(03の領域)
1850年代 中央市場が鉄とガラスで建てられる
1861〜1875年 オペラ座の新しい建物
1855年・1867年 パリ万国博覧会(03の領域)
1889年 万博。エッフェル塔が建てられる
1900年 万博。地下鉄が開通する

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パリ大改造

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

内容は03の領域で扱った。ここでは建築と視覚の面を見る。

何が変わったか

  • 直線の大通り。遠くまで見通せる。視線が通る都市になる。
  • 建物の高さと外観が統一された。同じ規則で建てられた集合住宅が並ぶ。
  • 上下水道とガス灯。夜の街が明るくなる。
  • 公園と並木。都市の中に緑が組み込まれる。
  • 鉄道駅と大通りが結ばれる。移動の速度が変わる。

視覚の変化

  • 遠近法的な景観が作られた。大通りの先に記念建造物が置かれる。
  • 群衆が見える。大通りを歩く人の流れが、風景になる。
  • カフェのテラスから通りを眺めるという習慣ができる。
  • この視覚が、絵画と文学の両方に現れる(第9章)。

⚠️ 代償

  • 中心部の住民が立ち退かされ、周縁部へ移った(03の領域)。
  • 古い街区が失われたとして、同時代から批判があった。
  • 「消えたパリ」という主題が、詩と写真と回想に繰り返し現れる。
  • この喪失の感覚が、19世紀後半の文学の1つの主題になる。

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鉄とガラス

新しい材料が可能にしたもの

  • 広い内部空間。柱を減らし、大きな屋根を架けられる。
  • 上からの採光。ガラスの屋根で内部が明るい。
  • 短い工期。部材を工場で作り、現場で組む。
  • これが、駅・市場・展示館・商店街に使われた。
  • 📘 パサージュ:通りと通りを結ぶ、ガラス屋根の付いた歩行者用の商店街のこと。19世紀前半のパリに多数造られた。

パサージュがなぜ重要か

  • 屋内でも屋外でもない空間にあたる。
  • 歩きながら商品を眺めるという経験が生まれた。
  • 大改造の大通りに押され、後に衰退する。
  • 20世紀に、この空間が19世紀の都市経験の象徴として論じられた(04の領域)。

エッフェル塔

  • 1889年の万博のために建てられた。当初は一時的な建造物の予定だった。
  • 完成時に、多くの作家と芸術家が反対の声明を出した。
  • 「美的でない」「都市の景観を損なう」という批判にあたる。
  • その後、都市の象徴になる。評価の反転が、この建造物の受容史の要点にあたる(08の領域)。

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中世建築の修復

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

何が行われたか

  • 大聖堂と城が、大規模に修復された(第2章)。
  • 方針は「本来あるべき姿に戻す」というものだった。
  • したがって、当時なかった部分が加えられている場合がある。
  • 現在見えている中世建築の姿は、この修復を経ている。

⚠️ 修復をめぐる論争

  • 「あるべき姿」を誰が決めるのかという問題がある。
  • 現状を保存すべきだという立場が、別に存在した。
  • この論争は、07の領域の版と本文の問題と同じ構造にあたる。どの状態を正しいものとするか。
19世紀半ばの都市改造 直線の大通り 古い街区を貫いて 通す。移動が速く なり、見通しが利く 統一した建物の正面 高さと材料と装飾を そろえる規則。街並 みの印象が変わる 上下水道と公園 衛生のための工事。 緑地が計画として 配置される 何が同時に起きたか 住んでいた人が中心から周辺へ移った。家賃が上がったためである 古い建物と街路が失われた。記録の写真がこの時期に撮られている 同時期の小説に、消えた街と新しい大通りの両方が書かれている
都市改造の三要素

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万国博覧会

何を見せる場だったか

  • 産業の製品と技術。
  • 各国の文化。
  • 植民地の産物と人々(03の領域)。展示という形式そのものが問題になる(08の領域)。
  • 数百万人が訪れた。都市の大きな出来事にあたる。
  • 建造物が残る。博覧会のために建てられた建物が、都市の一部になる。

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文学とのつながり

⊳ この節の問題を解く(1問)

この時期の作品を読むときに要る背景

  • 都市の描写 — 大通り、群衆、ガス灯、カフェ。これらは1850年代以降のパリの姿にあたる。作品の年と合っているかを確かめる。
  • 喪失の主題 — 「消えた古いパリ」を嘆く記述は、大改造への応答として読める。
  • 百貨店と商店街 — 消費の空間が、小説の舞台になる(第9章・03の領域)。
  • 駅と鉄道 — 移動と別離の場面が、鉄道の時代に固有の形を取る(03の領域)。
  • エッフェル塔への反対作家が声明に名を連ねている。芸術家の公的な発言の例にあたる(04の領域)。

⚠️ この時代で混同しやすい形

  • パリ大改造を、単なる美化事業と考える。衛生・交通・治安・経済の目的があった(03の領域)。
  • パサージュと大通りを同じ時期のものと考える。パサージュが先で、大通りに押されて衰退する。
  • エッフェル塔が最初から歓迎されたと考える。多くの作家と芸術家が反対の声明を出した。
  • 現在見える中世建築を、そのまま中世の姿と考える。19世紀の修復を経ている。

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鉄とガラスの建築

⊳ この節の問題を解く(2問・2枚)

19世紀の新しい素材

  • 鉄で骨組みを作り、ガラスで覆う。それまでにない大きさの内部空間が可能になる。
  • 駅・市場・温室・商店・博覧会の建物に使われた。
  • 石造りの建築とは、見た目も作り方も違う。
  • 当初は「建築ではない」と見なされる面があった。技師の仕事とされたためである。

文学とのつながり

  • これらの建物が、19世紀の小説の舞台として繰り返し出てくる。駅、百貨店、屋根つきの商店街。
  • 新しい空間の経験が、描写の対象になっている。
  • 群衆と匿名性が主題になる(03の領域)。
  • 第19章の型3が使える。その空間で人物がどう振る舞うか。

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博覧会という場

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

19世紀後半に繰り返し開かれた

  • 産業・技術・芸術・植民地の展示が一か所に集まる。
  • 大量の来場者。都市の景観を変える建築が残った。
  • 各国の展示館が並ぶ。国どうしの比較が前提になっている。
  • 植民地の展示が含まれていた。人と文化が展示の対象にされた例がある(03の領域)。

⚠️ 博覧会を単なる祝祭と考えない

  • 何を展示するかに、国家の主張が入っている。
  • 序列を示す装置として機能した面がある。
  • 同時代の文学に、博覧会の場面が出てくる。批判的に描いた例もある。
  • この論点は、第18章の文化政策と第14章の受容の問題につながる。

第12章の通過チェック

  • パリ大改造で変わったものを5つ、建築と視覚の面から言える
  • 大改造がもたらした視覚の変化を4つ言える
  • 鉄とガラスが可能にしたものを3つ言える
  • パサージュとは何か、なぜ重要かを言える
  • エッフェル塔の受容の反転を説明できる
  • 中世建築の修復の方針と、その問題を言える
  • 万国博覧会が何を見せる場だったかを4つ言える

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次章へ

次章は写真の発明である。表象の条件そのものが変わる。

目に見えたものを、機械が記録する。そのとき絵画は何をする分野になるのか。そして肖像・都市の記録・報道が、写真という形で作られていく。文学における描写の意味も、これによって問い直される。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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