🧭全体地図📘フランス語圏
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CHAPTER 1 導入 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 5

導入|第1章 全体地図 — フランコフォニーとは何か

この章の狙い

要点: フランス語で書かれた文学は、フランス本国だけのものではない。

マグレブ、サハラ以南アフリカ、カリブ海、ケベック、ベルギーとスイス、インド洋、そして本国の郊外。それぞれが別の歴史と別の言語状況を背負っている。

この教材は仮の版である。卒業論文で扱う領域が決まったら、その地域の章を厚くする。

フランス語が入った経緯 — 4つの型 型が違えば、問題になることも違う。4つを同じ枠で論じない 1 隣接して古い — ベルギー、スイス 植民地支配ではない。フランス語が母語 問題 — 本国の文学に吸収される 2 移住と定着 — ケベック、アカディ 17〜18世紀の入植。その後イギリスの支配下へ 問題 — 英語に囲まれた中で言語をどう維持するか 3 奴隷制と植民地 — カリブ海、インド洋の一部 強制的な移動の結果。元の言語が断たれている 問題 — クレオール語との関係。起源に遡れない 4 19〜20世紀の植民地 — マグレブ、サハラ以南アフリカ 19世紀以降の征服。独立は1950〜60年代 問題 — なぜ支配者の言語で書くのか
フランス語圏の地域と背景

⚠️ この教材では本文を引用していない

  • 扱う作品はほぼすべて20世紀以降で、著作権が存続している。
  • 作品名と刊行年を示すので、原文と邦訳で各自確認する。

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フランコフォニーという語

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

  • 📘 フランコフォニー:フランス語を使う人々と地域の全体を指す語。1880年代に地理学者オネジム・ルクリュが作ったとされる。

2つの意味がある

  • 小文字で書くとき — フランス語を話す人々と地域そのもの。
  • 大文字で書くとき国家間の組織としてのフランコフォニー。
  • 日本語では区別がつかないので、どちらの意味かを文脈で決める。
出来事
1880年代 ルクリュが語を作る。当時は地理学の用語だった
1960年代 アフリカ諸国の独立。独立した側から協力機構の構想が出る
1970年 文化と技術の協力機関が設立される
2005年 国際フランコフォニー機関(OIF)の名称になる

⚠️ 語の成り立ちに注意する

  • この語は、植民地支配と切り離せない歴史を持つ。
  • 一方で、1960年代の構想はアフリカ側から出ている。サンゴール(第6章)はその推進者の1人だった。
  • したがって「押し付けられた枠組み」とも「選び取られた枠組み」とも言い切れない。この両義性が、この分野の議論の出発点にあたる。

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4つの成り立ちの型

⊳ この節の問題を解く(2問・2枚)

「フランス語圏」と一口に言っても、フランス語が入った経緯が違う。

地域 経緯
1 隣接して古い ベルギー、スイス、ルクセンブルク 植民地支配ではない。言語圏として地続きにある
2 移住と定着 ケベック、アカディ 17〜18世紀の入植。その後イギリスの支配下に入る
3 奴隷制と植民地 カリブ海、インド洋の一部 強制的な移動の結果。元の言語が断たれている
4 19〜20世紀の植民地 マグレブ、サハラ以南アフリカ 19世紀以降の征服。独立は1950〜60年代

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この違いが決定的にあたる

  • 型1は、言語の選択が問題にならない。フランス語が母語である。
  • 型2は、言語の維持が問題になる。英語に囲まれている。
  • 型3は、クレオール語との関係が問題になる(第7章)。
  • 型4は、なぜ支配者の言語で書くのかが問題になる(第2章)。
  • したがって、4つを同じ枠で論じない。

⚠️ 最も多い誤り

  • 「フランス語圏の文学」を1つの均質なものと考える。
  • ベルギーの作家とアルジェリアの作家では、言語の位置がまったく違う。
  • 論じるときは、必ずどの型かを先に示す。

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この教材の構成

⊳ この節の問題を解く(1問)

扱うもの
2 言語の選択という問題。全地域に共通する問い
3〜4 マグレブ。アルジェリア戦争を含む
5〜6 サハラ以南アフリカとネグリチュード
7 カリブ海とクレオール性
8 ケベック
9 ベルギー・スイス
10 移民と郊外の文学。本国の中の問題
11 理論との接続
12 調べ方と卒論への接続

読む順序

  • 第2章は必ず読む。全地域に共通する問いにあたる。
  • そのあとは、関心のある地域の章へ直行してよい。
  • 第11章と第12章は、卒論を考え始めたときに読む。

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ほかの教材との分担

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

教材 この教材との関係
03 フランス史 植民地帝国の歴史は03の15章。この教材は作品を扱う
08 文学理論 ポストコロニアル批評の枠組みは08の14章。この教材は対象を扱う
02 文学史 本国の流れ。この教材はその外側
10 作品と作家 20作品はすべて本国の作家。この教材が補う部分にあたる

⚠️ カミュの扱い

  • カミュはアルジェリア生まれのフランス人である(10の18章、04の15章)。
  • 植民者の側に属する。アルジェリアの作家とは位置が違う。
  • この違いは第4章で扱う。混同しない。

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用語を先に決める

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

  • 📘 植民地:他国が支配し、経済と行政を握った地域のこと。フランスの場合、19世紀に大きく広がった(03の領域)。
  • 📘 脱植民地化:植民地が独立していく過程のこと。フランスの場合は1950〜60年代に集中する(03の領域)。
  • 📘 母語:最初に身につけた言語のこと。フランス語圏では、母語と書く言語が違う作家が多い。

⚠️ 「現地語」という語を使わない

  • 序列を含む語にあたる。
  • アラビア語、ベルベル語、ウォロフ語、クレオール語のように、具体的な言語名で書く。
  • これは08の領域の指摘と同じ問題である。

⚠️ この章で混同しやすい形

  • フランス語圏の文学を1つの均質なものと考える。成り立ちの型が4つある。
  • フランコフォニーを植民地支配だけの産物と考える。独立した側からの構想でもあった。
  • カミュをアルジェリアの作家と考える。植民者の側に属する。
  • 「現地語」という語を使う。具体的な言語名で書く。

▲ この章の内容へ

規模と読者

⊳ この節の問題を解く(1問)

数で見ておく

  • フランス語を日常的に使う人の多くは、フランス本国の外にいる。人口の伸びはアフリカが中心にあたる。
  • したがって「フランス語の文学」の重心は、長期的には本国の外へ動く。
  • 一方で、出版と批評の中心は現在もパリにある。
  • この「話者の分布」と「出版の集中」のずれが、この分野の構造的な問題にあたる(第11章)。

⚠️ 数字を使うときの注意

  • 推計であり、機関によって幅がある(07の領域)。
  • 「フランス語を使う」の定義が、調査によって違う。
  • 論拠に使うなら、出典と年を明記する。

▲ この章の内容へ

この分野の名前をめぐって

⊳ この節の問題を解く(1問)

呼び方が複数ある

  • フランス語圏の文学 — この教材が使う呼び方。
  • フランコフォニー文学 — 組織の名に由来する呼び方。
  • フランス語による世界文学 — 2007年の宣言が提案した呼び方(第11章)。

⚠️ どの呼び方にも含みがある

  • どれを使っても、中立ではない。
  • レポートでは、使う呼び方を最初に断り、なぜそれを選んだかを一言添える(07の領域)。
  • この教材は便宜(べんぎ)上「フランス語圏の文学」を使っている。第11章でその枠自体を扱う。

第1章の通過チェック

  • フランコフォニーという語の由来と、2つの意味を言える
  • 4つの成り立ちの型と、それぞれの地域を言える
  • 型ごとに何が問題になるかを言える
  • この教材と03・08・10との分担を言える
  • カミュの位置が、アルジェリアの作家と違う理由を言える
  • 「現地語」という語を避ける理由を言える

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次章へ

次章は言語の選択という問題である。全地域に共通する、この分野の中心の問いにあたる。

なぜ支配者の言語で書くのか。書かないという選択もありえた。実際に、書くのをやめた作家も、別の言語に移った作家もいる。その判断が何を意味するのかを扱う。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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