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分析の対象になる本文そのもの。「作品」が全体を指すのに対し、テクストは「そこに書かれている言葉の連なり」を指す。版が違えばテクストも違う。
同じ作品や主題について、すでに誰かが書いた研究のこと。自分の論がどこに新しさを持つのかは、これを読まないと決められない。
少人数で、学生が順番に発表し、教員と参加者が議論する授業のこと。フランス語ではセミネールにあたる。発表の準備が、そのまま論文の練習になる。
本文を調べれば答えが出せて、しかも答えが一通りに決まらない疑問文のこと。「何年に刊行されたか」は調べれば決まるので問いではなく、事実確認にあたる。
調べる前に立てておく、暫定(ざんてい)の答えのこと。間違っていてよい。何を確かめればよいかが決まることに意味がある。
図書館の蔵書検索システムのこと。オンライン閲覧目録の略。その大学にどの本があるかを調べる入口にあたる。
ある主題について、これまで出た文献を一覧にしたもの。先行研究の全体像を最短で掴むための資料にあたる。
大学や研究機関が発行する定期刊行の論文集のこと。日本のフランス文学研究の多くはここに載る。機関リポジトリで本文が公開されていることが多い。
フランス国立図書館が運営する電子図書館。著作権の切れた作品の初版や、当時の新聞・雑誌がそのまま見られる。初版と後の版の違いを確かめるときに使う。
ある主題について、これまでどんな研究がなされてきたかを整理した記述のこと。自分の論がどこに置かれるのかを示すために書く。
同じ箇所について、版や写本によって違っている本文のこと。どちらが正しいかを決められない場合もある。
複数の版や写本を比べ、根拠を示して本文を定める作業のこと。これを行った版が批評版にあたる。
ガリマール社が刊行している、薄い紙に印刷された革装(かわそう)の全集シリーズ。フランス文学の標準的な批評版として扱われる。図書館の開架か参考図書の棚にある。
刊行前の下書きのこと。フランス語では brouillon、あるいは avant-texte という。
草稿を材料に、作品が書かれていく過程そのものを研究する方法のこと。フランスで盛んな分野にあたる。
研究の対象そのもの(作品の本文、作者の書簡、当時の新聞など)。これに対し、それについて書かれた研究が二次資料にあたる。参考文献一覧では分けて並べる。
フランス語の引用符 « » のこと。内側に半角の空きを入れるのが正式な組み方にあたる。
そのページの下に置く注のこと。読者がすぐ見られる利点がある。
章末または論文末にまとめて置く注のこと。本文が読みやすくなる。
他人の論文に引用されている文章を、元の文献に当たらずにそのまま引くこと。原則として禁じられている。
書名・雑誌名を示すために傾けた書体のこと。手書きやプレーンな文字しか使えない場合は、下線で代用する。日本語文献では『 』が同じ役割を果たす。
電子化や翻刻(ほんこく)のもとになった紙の版のこと。これが分からない電子テクストは、学術的には使えない。
与えられた命題について、賛成・反対・統合の3部で論じるフランスの論述形式。日本のレポートの「序論・本論・結論」とは組み立てが違う。
提出後に行われる、論文についての質疑のこと。論文を読んだ教員から質問を受け、その場で答える。
与えられた短い一節を、冒頭から順に、語の選択・構文・音・修辞を観察しながら読み解いていくフランスの分析形式。日本語では「テクスト解説」「精読」などと訳される。
作品の中で語っている存在のこと。作品の外にいる作者とは区別する。
作品の中で行動する存在。一人称の作品では、語り手と登場人物が同一人物であることが多いが、同じ時点の同じ人物とは限らない。
登場人物の言葉や思考を、引用符も「〜と言った」も付けずに地の文に組み込む書き方のこと。誰の声なのかが揺らぐ。フランス語では、時制が間接話法(半過去・条件法)に合わせられる一方、感嘆や疑問の語調は人物のまま残る。
語られる出来事が、誰の知覚と知識を通して提示されているかを指す概念。
長い時間を短く語ること。「三年が過ぎた」。
出来事の時間と語りの時間がほぼ等しい部分。会話がその典型にあたる。
言葉を、通常とは違う形で用いて効果を生む技術のこと。フランス語ではレトリック。個々の技法を文彩(ぶんさい)と呼ぶ。
語の中で特に強く読まれる部分のこと。英語には語ごとにアクセントの位置があるが、フランス語には語ごとの強弱アクセントがない。強めるのは、まとまりの最後の音節である。
12音節の詩句のこと。フランス詩の中心的な詩型にあたる。12世紀の『アレクサンドロス物語』に由来する名。ラシーヌの悲劇も、ユゴーの詩も、ボードレールの多くの詩もこれで書かれている。
1つの母音を核とする、発音上のまとまりのこと。フランス詩では、発音される母音の数がそのまま音節の数になる。
語末や語中に現れる e で、日常会話ではほとんど発音されないもの。フランス語では e muet または e caduc という。詩では、位置によって数えたり数えなかったりする。
語末の母音が、次の語の母音の前で消える現象のこと。書くときは « l'automne » のようにアポストロフで示すが、詩では書かれないまま音だけが消える場合もある。
隣り合う2つの母音字を、2音節に分けて読むこと。「violons」を vi-o-lons と読む形にあたる。
隣り合う2つの母音字を、1音節にまとめて読むこと。「violons」を vio-lons と読む形にあたる。
語と語の間で、母音が続けて衝突すること。「tu as」のように、エリジョンできない形で母音が並ぶ場合を指す。
2つ以上の詩句の末尾の音が一致すること。フランス詩では、行末に置かれるのが原則にあたる。
韻を踏むこと。フランス詩は、中世から19世紀まで、押韻をほぼ義務としてきた。
行末が無音の e(-e、-es、-ent)で終わる韻のこと。行末なので e は音節に数えないが、韻の性は決まる(第15章の規則③)。
詩句の内部にある、決まった位置の大きな切れ目のこと。フランス語ではセジュールという。
中間休止で分けられた、詩句の前半と後半のこと。
語のまとまりの終わりに置かれる、小さな区切りのこと。そのまとまりの最後の音節が、少し強く読まれる。
12音節を 6+6 ではなく、4+4+4 の3つに分ける形のこと。ロマン派が好んで用いた。
14行からなる定型詩。4行連2つ+3行連2つで組まれる。イタリアで生まれ、16世紀のフランスに入った。
ソネットの四行連から三行連へ移るところで起きる、内容の切り替わりのこと。イタリア語ではヴォルタという。
韻を踏む2行のまとまりのこと。平韻で書かれた劇では、この2行が意味の単位になる。
音節数も押韻も定めず、行分けだけを残した詩のこと。1880年代に確立した。
行分けをせず、散文の形で書かれた詩のこと。19世紀前半に始まる。
他人の文章・考え・データを、出典を示さずに自分のものとして提示すること。フランス語ではプラジャという。