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CHAPTER 3 作法 読む目安 約10分 / ⚡暗記ボックス 7

作法|第3章 資料を探す — 図書館とデータベース

この章の狙い

要点: 探し方を知らないと、探す時間のほとんどが無駄になる。どこに何があるかは決まっているので、目的から入口を選ぶだけでよい。

この章は読み物ではなく手順書にあたる。レポートや卒論に取りかかるときに開いて、そのとおりに動けばよい。

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何を探しているのかを先に決める

⊳ この節の問題を解く(1問)

探し始める前に、探しているものが5種類のどれかを決める。入口が変わる。

探すもの 入口
作品の本文(原文) 電子テクスト、または図書館の全集・文庫
邦訳 図書館の蔵書検索、文庫
研究論文(日本語) 論文データベース
研究論文(フランス語・英語) 海外の論文データベース
事実の確認(生没年・刊行年・用語) 事典・便覧(べんらん)

⚠️ 最初に検索サイトで作品名を入れる

  • 出てくるのは要約と感想である。研究には使えない。
  • 出典の分からない情報をレポートに書かない。孫引き(まごびき)以前の問題になる。
  • 事実の確認は、必ず事典か研究書に当たる。

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大学の図書館から始める

⊳ この節の問題を解く(1問)

  • 📘 OPAC:図書館の蔵書検索システムのこと。オンライン閲覧目録の略。その大学にどの本があるかを調べる入口にあたる。

図書館で最初にやる3つ

  • 蔵書検索で、作家名と作品名を入れる。全集・研究書・邦訳が一度に出る。
  • データベース一覧のページを開く。大学が契約している有料のデータベースは、学内からか、学認(がくにん)などの認証を通せば無料で使える。
  • 参考図書(レファレンス)の棚に行く。事典・便覧・書誌が並んでいる。開架(かいか)で、その場で引ける。
  • 📘 書誌:ある主題について、これまで出た文献を一覧にしたもの。先行研究の全体像を最短で掴むための資料にあたる。

契約データベースは在学中しか使えない。卒業後は同じものに料金がかかる。在学中に使い倒すべき資源である。

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日本語の論文を探す

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

データベース 何が引けるか
CiNii Research 日本の学術論文・図書・博士論文。日本語の先行研究はまずここ
国立国会図書館サーチ 日本国内で刊行された出版物のほぼ全て
J-STAGE 学会誌の本文。PDFで読めるものが多い
各大学の機関リポジトリ 紀要(きよう)論文や博士論文の本文
  • 📘 紀要:大学や研究機関が発行する定期刊行の論文集のこと。日本のフランス文学研究の多くはここに載る。機関リポジトリで本文が公開されていることが多い。

日本語で探すときの検索語

  • 作家名は複数の表記を試す。「フローベール」「フロベール」「Flaubert」。
  • 作品名と主題語を組み合わせる。「ボヴァリー夫人 自由間接話法」。
  • 見つけた論文の参考文献一覧を見る。そこに次の文献がある。これが最も効率がよい。

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フランス語・英語の論文を探す

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

データベース 何が引けるか
Gallica(フランス国立図書館) 19世紀までの原典・新聞・雑誌が無料で読める。画像とテクストの両方
Persée フランスの学術誌のバックナンバー。無料
OpenEdition Journals フランス語圏の人文系電子ジャーナル。多くが無料
Cairn.info フランス語圏の学術誌・研究書。契約が要るものが多い
JSTOR 英語圏中心の学術誌のバックナンバー。大学の契約で読める
MLA International Bibliography 世界の文学研究の書誌。網羅性が最も高い

フランス語で検索するときの注意

  • アクセント記号は省いても引けることが多いが、両方試す。「theatre」と「théâtre」。
  • 単数と複数を試す。「roman」と「romans」で結果が変わる。
  • 前置詞と冠詞は入れない。「narrateur Flaubert」で足りる。
  • 主題語の定番を覚える。énonciation(言表)、narration(語り)、réception(受容)、genèse(生成)、intertextualité(間テクスト性)。
  • 📘 Gallica:フランス国立図書館が運営する電子図書館。著作権の切れた作品の初版や、当時の新聞・雑誌がそのまま見られる。初版と後の版の違いを確かめるときに使う。

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電子テクストを使う

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

原文を数えたり検索したりするには、電子テクストが要る。

場所 内容
Wikisource(フランス語版) 公有の作品の本文。入力の誤りがあるので、必ず紙の版と照合する
Gallica 初版の画像とテクスト。版が明確なので信頼できる
Frantext フランス語のテクストコーパス。語の頻度を調べられる。契約が要る
Project Gutenberg 公有作品の本文。多言語

⚠️ 電子テクストの落とし穴

  • どの版を電子化したものかが書かれていないことがある。その場合、引用の根拠にはできない。
  • 入力ミスがある。語を数えるには使えても、引用するときは紙の版で確かめる。
  • 著作権が存続している作品は載っていない。載っていたら、それは無許諾(むきょだく)の公開である。使わない。

使い分けは決まっている。数えたり探したりするのは電子テクスト、引用の根拠にするのは紙の版である。

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事実を確かめる

⊳ この節の問題を解く(1問)

資料 いつ引くか
『フランス文学小事典(増補版)』 作家・作品・用語の基本。授業の指定参考書
『新フランス文法事典』(朝倉季雄) 文法の細かい判断
『現代フランス広文典』(目黒士門) 文法の通しの確認
フランス語の文学事典 日本語の事典にない項目
各作家の研究書の巻末年譜 生涯の細かい事実

事典の使い方

  • 項目を読んだら、末尾の参考文献を必ず見る。次に読むべきものが書いてある。
  • 事典の記述はレポートに引用しない。そこから辿った研究書を引用する。事典は入口であって根拠ではない。
  • 複数の事典で食い違ったら、より新しく、より専門的なほうを採る。

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手に入らないときの3つの道

⊳ この節の問題を解く(1問)

状況 どうするか
自分の大学にない本 相互利用(そうごりよう)を申し込む。他大学から取り寄せられる
論文の本文がない 複写(ふくしゃ)を申し込む。有料だが数百円のことが多い
現物が国内にない 国立国会図書館、または海外からの取り寄せ。時間がかかるので早めに

申し込みは図書館のカウンターかウェブから行う。手続きを知らないまま「手に入らない」と諦めている学生が多い。一度やれば覚える。

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探した記録を残す

⊳ この節の問題を解く(1枚)

文献カードに書く6項目

  • 著者名 / 題名 / 収録誌または出版社 / 刊行年 / ページ / 入手先
  • これを見つけた時点で書く。あとから探し直すと、同じ検索を繰り返すことになる。
  • 第7章の参考文献一覧が、このカードからそのまま作れる形にしておく。

⚠️ URLだけを記録する

  • リンクは切れる。著者・題名・刊行年を書いておかないと、二度と辿れない。
  • 閲覧した日付も書く。ウェブ資料の書式に必要になる。

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探し始めてから1時間の動き方

実際の手順を、時間の順に並べる。レポートの課題が出た日に、この通り動けばよい。

経過 すること
最初の10分 大学の蔵書検索で作家名を入れ、研究書と邦訳の在架(ざいか)を確認する
次の10分 事典の該当項目を読み、末尾の参考文献を写す
次の20分 論文データベースで、作家名+主題語で検索する。題名と要旨だけ見て、候補を10本挙げる
次の10分 候補のうち、本文がすぐ読めるものを確認する
最後の10分 文献カードの書誌欄だけを、全部埋める

1時間で得られるもの

  • 読むべき文献のリスト(5〜10本)
  • その分野で繰り返し出る研究者の名前(2〜3人)
  • 主題語のフランス語(次の検索で使う)
  • この3つがあれば、次からの検索が格段に速くなる。

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検索してもうまく出ないとき

⊳ この節の問題を解く(1問)

症状 原因と対処
結果が多すぎる 語が一般的すぎる。作品名か具体的な技法名を足す
結果がゼロ 語が特殊すぎる。主題語を1つ外す。または表記を変える
関係ないものばかり出る 同名の別分野の語が混ざっている。分野で絞り込む
日本語で出ない その主題は国内で研究が薄い。フランス語・英語で探す
本文が読めない 紀要なら機関リポジトリ、雑誌なら図書館の所蔵を確認する

⚠️ ゼロ件を「研究されていない」と受け取らない

  • 検索語が合っていないだけのことがほとんどにあたる。
  • 有名な作品で先行研究がゼロということはまずない。
  • 本当にゼロなら、それは主題が絞られすぎているか、問いの立て方が特殊すぎる(第2章)。

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主題語のフランス語

⊳ この節の問題を解く(1枚)

検索に使う語を、あらかじめ持っておく。

日本語 フランス語
語り/語ること narration
語り手 narrateur
視点・焦点化 focalisation
自由間接話法 style indirect libre
受容 réception
生成(草稿の研究) genèse
間テクスト性 intertextualité
詩法 versification
修辞 rhétorique
表象 représentation

使い方

  • 作家名+この語で検索する。「Flaubert narration」。
  • 日本語の論文にも、これらの語がそのまま片仮名で使われることが多い。両方で試す。
  • 見つけた論文の題名から、さらに語を拾う。その分野で実際に使われている語が分かる。

第3章の通過チェック

  • 探すものを5種類に分け、それぞれの入口を言える
  • 図書館で最初にやる3つを言える
  • 日本語の論文を探す4つの入口を言える
  • Gallica と Persée が何であるかを言える
  • 電子テクストを使ってよい場面と、使ってはいけない場面を言える
  • 事典を引いたあと必ずすることを言える
  • 文献カードの6項目を言える

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次章へ

文献が集まったら、次は読む段階になる。ただし全部を同じように読む必要はない。

次章は先行研究を読むである。どこまで読めば十分か、1本の論文から何を取り出すか、そして自分の論との関係をどう書くかを扱う。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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