🧭全体地図📘研究法
7 / 20
CHAPTER 7 作法 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 6

作法|第7章 参考文献一覧 — フランス語文献の書き方

この章の狙い

要点: 参考文献一覧は、読者が同じ文献に辿り着けるようにするためのものである。だから必要な情報が、決まった順序で並んでいればそれでよい。

書式は分野や雑誌によって少しずつ違う。大事なのは、一つの型を決めて最後まで守ることである。途中で型が変わっている一覧が、最も読みにくい。

▲ この章の内容へ

何を書くか — 5つの必須項目

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

項目 補足
著者名 訳書なら訳者も
題名 書名か論文名
収録先 論文なら雑誌名と巻号、章なら書名
出版社と刊行地(日本語文献では出版社のみでよい)
刊行年 版を重ねているなら、使った版の年

論文にはさらにページ範囲が要る。ウェブ資料にはURLと閲覧日が要る。

▲ この章の内容へ

日本語文献の型

⊳ この節の問題を解く(1問)

種類
単行本 著者名『書名』出版社、刊行年。
訳書 原著者名『書名』訳者名訳、出版社、刊行年。
論文 著者名「論文名」『掲載誌名』巻号、刊行年、開始頁–終了頁。
論文集の1章 著者名「論文名」編者名『書名』出版社、刊行年、開始頁–終了頁。

日本語文献で迷いやすい3点

  • 書名は『 』、論文名は「 」。これは全国どこでも共通の使い分けにあたる。
  • 訳者は「◯◯訳」と書く。「訳者:◯◯」とは書かない。
  • 文庫は、文庫としての刊行年を書く。原著の刊行年は必要なら括弧で添える。

▲ この章の内容へ

フランス語文献の型

⊳ この節の問題を解く(2問・2枚)

日本語とも英語とも違うので、型ごと覚えてしまうのが早い。

種類
単行本 姓(大文字), 名, 書名(斜体), 刊行地, 出版社, coll. « 叢書名 », 刊行年.
論文 姓, 名, « 論文名 », 雑誌名, 巻号, 刊行年, p. 開始–終了.
論文集の1章 姓, 名, « 論文名 », dans 編者名 (dir.), 書名, 刊行地, 出版社, 刊行年, p. 開始–終了.
校訂者つきの版 著者名, 書名, éd. 校訂者名, 刊行地, 出版社, 刊行年.

フランス語の書誌で覚える7つの記号

  • coll. — 叢書(そうしょ)の名。「コレクション」の略
  • dir. — 編者。「その本をまとめた人」
  • éd. — 校訂者、または「版」
  • trad. — 訳者
  • p. — 1ページ、pp. — 複数ページ(p. だけで済ませる書き方もある)
  • t. — 巻。 — 号
  • s. l.(刊行地不明)、s. d.(刊行年不明)

⚠️ フランス語の書名で最も間違えやすいのが大文字

  • フランス語の書名は、英語のように全単語を大文字にしない。
  • 原則は最初の語だけ大文字。ただし最初が定冠詞のとき、次の名詞まで大文字にする慣習がある。
  • 迷ったら、その本の扉(とびら)に印刷されているとおりに写す。それが最も安全な判断になる。
  • 例:Les Fleurs du MalMadame BovaryÀ la recherche du temps perdu
  • 📘 斜体(イタリック):書名・雑誌名を示すために傾けた書体のこと。手書きやプレーンな文字しか使えない場合は、下線で代用する。日本語文献では『 』が同じ役割を果たす。

▲ この章の内容へ

ウェブ資料の型

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

種類
ウェブ上の論文 著者名「論文名」『掲載誌名』巻号、刊行年、頁、URL(閲覧日:20XX年X月X日)。
データベース上のテクスト 著者名『作品名』(底本の情報)、サイト名、URL(閲覧日)。

⚠️ ウェブ資料で必ず書くもの

  • 閲覧日。内容は書き換わる。いつ見たかを示さないと確かめられない。
  • 底本(ていほん)の情報。電子テクストが「何を電子化したものか」。書かれていないものは、引用の根拠には使わない(第5章)。
  • DOI があれば URL より DOI を書く。リンクが切れない。
  • 📘 底本:電子化や翻刻(ほんこく)のもとになった紙の版のこと。これが分からない電子テクストは、学術的には使えない。

▲ この章の内容へ

並べ方

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

一覧の組み立て

  • 1. 一次資料(分析対象の作品)を最初に、別立てで。使った版を明記する。
  • 2. 二次資料(研究文献)を、著者の姓の順に。
  • 3. 日本語文献と欧文文献は分けてよい。分けるなら、見出しを付ける。
  • 4. 同じ著者の文献が複数あるときは、刊行年の古い順に。

分け方も並べ方も、指導教員の指示があればそれに従う。指示がなければ上の形でよい。

▲ この章の内容へ

よくある間違い

⊳ この節の問題を解く(2問)

間違い 直し方
本文で引用していない本を並べる 引用したものだけを載せる。読んだ本の一覧ではない
ページ範囲が抜けている 論文には必ず開始と終了を書く
出版社と刊行地が混ざる 日本語は出版社のみ、フランス語は刊行地→出版社の順
途中で型が変わる 1つ決めて最後まで守る
訳書なのに訳者が書かれていない 訳者名は必須にあたる

一覧を楽に作る方法

  • 文献カード(第4章)の書誌欄を、そのまま並べ替えるだけにしておく。
  • 読んだ時点で完全な形にしておく。あとから足りない項目を調べ直すと、1本あたり数分かかる。20本なら1時間の差になる。
  • 提出前に、本文の注と一覧を突き合わせる。注にあって一覧にない文献が、最も多い抜けにあたる。

▲ この章の内容へ

一覧の実際の形

日本語と欧文を分けて、次のように並べる。(記号は自分が決めた型で統一する。)

並べ方の例

  • 一次資料
  •  (分析対象の作品。使った版を明記する)
  • 二次資料(日本語)
  •  著者名『書名』出版社、刊行年。
  •  著者名「論文名」『掲載誌名』巻号、刊行年、頁。
  • 二次資料(欧文)
  •  姓, 名, 書名, 刊行地, 出版社, 刊行年.
  •  姓, 名, « 論文名 », 雑誌名, 巻号, 刊行年, p. 開始–終了.
  • ウェブ資料
  •  著者名「題名」サイト名、URL(閲覧日)。

▲ この章の内容へ

句読点の使い分け

フランス語と日本語で、区切りに使う記号が違う。

日本語 フランス語
項目の区切り 読点(、) コンマ(,)
書名 『 』 斜体(または下線)
論文名 「 」 « »
末尾 句点(。) ピリオド(.)

← 横に動かして読めます →

⚠️ 混ぜない

  • フランス語文献の書名を『 』で囲まない。斜体か下線を使う。
  • 日本語文献の書名を斜体にしない。『 』を使う。
  • 1つの一覧の中で、日本語文献は日本語の作法、欧文は欧文の作法で書く。混在してよい。

▲ この章の内容へ

提出前の突き合わせ

⊳ この節の問題を解く(1問)

3つを順に確かめる

  • 1. 注に出た文献が、全部一覧にあるか。注を頭から追い、一覧に印を付けていく。
  • 2. 一覧にあって、本文で使っていない文献はないか。読んだが引用しなかったものは載せない。
  • 3. 同じ文献の書誌が、注と一覧で食い違っていないか。刊行年とページが最も食い違いやすい。

この作業に30分から1時間かかる。日程に組み込んでおく(第9章)。

第7章の通過チェック

  • 参考文献一覧の目的を一文で言える
  • 必須の5項目を言える
  • 日本語文献の単行本・訳書・論文の型を書ける
  • フランス語文献の単行本と論文の型を書ける
  • coll. / dir. / éd. / trad. の意味を言える
  • フランス語の書名の大文字の原則と、迷ったときの判断を言える
  • ウェブ資料で必ず書く3つを言える
  • 一覧の並べ方の4段階を言える

▲ この章の内容へ

次章へ

材料と作法が揃った。次は組み立てである。

次章はレポートを組み立てる。序論に何を書くか、段落をどう作るか、結論に何を書いてはいけないか。構成が決まっていれば、書くこと自体は難しくない。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

この章の問題を解く ▶
🧭全体地図へ戻る