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CHAPTER 17 詩法 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 8

詩法|第17章 リズムと切れ目 — 詩句の内部構造

この章の狙い

要点: アレクサンドランの12音節は、均等に並んでいるのではない。真ん中で大きく切れ、その左右がさらに小さく切れる。この切れ方がリズムを作っている。

そして切れ方が規則から外れる箇所と、文が行をまたぐ箇所が、詩の分析で最も実りの多い場所にあたる。規則を知っているから、外れが見える。

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中間休止

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

  • 📘 中間休止(ちゅうかんきゅうし):詩句の内部にある、決まった位置の大きな切れ目のこと。フランス語ではセジュールという。
  • 📘 半句(はんく):中間休止で分けられた、詩句の前半と後半のこと。
詩型 中間休止の位置 半句
アレクサンドラン(12) 6音節目のあと 6 + 6
十音節(10) 4音節目のあとが標準 4 + 6
八音節(8) なし(短いので不要)

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確かめてみる

  • ラシーヌ『フェードル』:« Le jour n'est pas plus pur ‖ que le fond de mon cœur. »
  • 前半:Le / jour / n'est / pas / plus / pur = 6音節
  • 後半:que / le / fond / de / mon / cœur = 6音節
  • 中間休止の位置に、意味の切れ目も来ている。「陽の光も清らかではない ‖ 私の心の底ほどには」。
  • 形式と意味が一致している。古典主義の詩句の典型にあたる。
古典のアレクサンドラン 6 + 6 Le jour n'est pas plus pur que le fond de mon cœur 中間休止は6音節目のあと。ここに意味の切れ目も来ている。 ロマン派の三分割 4 + 4 + 4 J'ai disloqué ce grand niais d'alexandrin 12音節のままだが、6音節目に中間休止が置けない。 またがり=文が行末で終わらず次の行へ続く。行頭に置かれた語が強調される。
アレクサンドランの切れ目

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小さな切れ目

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

半句の内部にも、さらに小さな切れ目がある。

  • 📘 切れ(coupe):語のまとまりの終わりに置かれる、小さな区切りのこと。そのまとまりの最後の音節が、少し強く読まれる。

フランス語には語ごとのアクセントがないので(第14章)、強めるのはまとまりの最後になる。切れの位置が、そのままリズムを決める。

リズムの表し方

  • 各まとまりの音節数を、数字の列で書く。
  • 6 + 6 のアレクサンドランで、前半が 2 + 4、後半が 3 + 3 なら、2/4//3/3 と書ける。
  • この数字の列を、詩の全行について作ると、リズムの変化が目に見える。
  • 全行が同じ数字になることはまずない。変化する箇所が、分析の対象になる。

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規則が破られるとき

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

19世紀のロマン派は、中間休止の位置を意図的にずらした。

  • 📘 三分割のアレクサンドラン:12音節を 6+6 ではなく、4+4+4 の3つに分ける形のこと。ロマン派が好んで用いた。

ユゴーの自己言及的な一行

  • « J'ai disloqué ce grand niais d'alexandrin. »(私はこの間抜けなアレクサンドランを脱臼させた)
  • J'ai / dis / lo / qué(4)ce / grand / ni / ais(4)d'a / lex / an / drin(4)
  • 合計12音節だが、切れ目は 4/4/4 である。6音節目は「ce」の途中ではなく「grand」の内部にあたり、中間休止が置けない。
  • 述べている内容と、その内容を実演している形式が一致している。アレクサンドランを壊すと宣言する行が、実際に壊れた形で書かれている。

⚠️ 「破格」を見つけたときの注意

  • まず、本当に破格かを確かめる。数え間違いのことが多い(第15章)。
  • その詩の他の行と比べる。その詩の中で例外なら意味がある。全行がそうなら、それがその詩の規則にあたる。
  • 時代を確認する。17世紀の詩での破格と、19世紀での破格は重みが違う。

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行をまたぐ

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

文の切れ目と行の切れ目がずれるとき、独特の効果が生まれる。

名前 何が起きるか
またがり 文が、行末で終わらずに次の行へ続く
送り 前の行から続いた短い要素が、次の行の頭に置かれる
先送り 行末に置かれた短い要素が、次の行につながる

ラ・フォンテーヌの例

  • « Un Agneau se désaltérait / Dans le courant d'une onde pure. »(一頭の子羊が喉を潤していた/澄んだ流れの中で)
  • 1行目で文は終わらない。「どこで」が次の行に送られている。
  • 行末でいったん切れ、そのあとに場所が明かされる。読者は一瞬待たされる。
  • これがまたがりにあたる。

またがりを見つけたら書くこと

  • どの語が次の行の頭に置かれているか。その語が、行頭という目立つ位置に置かれることで強調される。
  • 待たされることで、何が起きるか。期待、驚き、宙づり。
  • その詩の中で何回起きるか。1回なら特別な効果、多用されているならその詩の方法にあたる。

⚠️ またがりを「詩人が規則を守れなかった」と読まない

  • 意図的な技法である。古典主義でも用いられ、ロマン派以降は積極的に使われた。
  • むしろ、まったく起きない詩のほうが特殊にあたる。全行が行末で切れる詩は、単調になりやすい。

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リズムの分析をレポートにする

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

手順

  • 1. 全行の音節数を数える(第15章)。
  • 2. 中間休止の位置を確かめる。6音節目のあとで切れるか。
  • 3. 各行のリズムを数字の列で書く。
  • 4. 例外を拾う。中間休止が置けない行、またがりのある行。
  • 5. 例外の位置と、詩の意味の展開を重ねる。

5が結論になる。「音節数が乱れる3行は、いずれも◯◯が語られる箇所にあたる」という形が書ければ、形式と意味を結んだ分析になる。

⚠️ リズム分析でやりがちな2つ

  • 数字を並べただけで終わる。「2/4//3/3」を書いて満足しない。そこで何が起きているかを書く。
  • すべての行を分析しようとする。例外だけを扱えばよい。規則どおりの行は、背景にあたる。

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十音節と八音節の切れ目

⊳ この節の問題を解く(1問)

アレクサンドラン以外の詩型も見ておく。

詩型 標準的な切れ方 使われた時期
十音節 4 + 6 中世の武勲詩、ルネサンスの詩
十音節(別型) 5 + 5 まれ
八音節 中間休止なし 中世から現代まで。物語詩、軽い抒情詩
七音節・九音節 なし 19世紀後半以降

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八音節に中間休止がない理由

  • 短いので、途中で大きく切る必要がない。
  • 1つのまとまりとして読める長さにあたる。
  • だから軽く、速く感じられる。物語や歌に向く。
  • アレクサンドランの重さと対比される。同じ詩人が使い分けている場合、それ自体が分析の対象になる。

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中間休止が置けない形

三分割(4+4+4)以外にも、中間休止が壊れる形がある。

何が起きているか
6音節目が語の内部にある 中間休止が置けない
6音節目のあとに切れ目がない 意味の上で切れない
6音節目の e がエリジョンで消える 半句の境界が曖昧になる

⚠️ どれも、まず数え直す

  • 数え間違いであることが最も多い(第15章)。
  • その詩の他の行がすべて6+6なら、その行だけが例外にあたる。分析する価値がある。
  • 全行がそうなら、それがその詩の方法である。時代を確認する。

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リズムを表にする

⊳ この節の問題を解く(1問)

第15章・第16章の表に、リズムの列を足す。

音節 リズム 行末の語
1 12 2/4 // 3/3 A 女性
2 12 4/4/4 B 男性

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表の使い方

  • リズムの列だけを縦に読む。同じ数字が続くか、変化するか。
  • 変化する行に印を付ける。
  • 印の付いた行に何が書かれているかを見る。
  • 形式の変化と意味の変化が重なる箇所が見つかれば、それが論の中心になる。

この表が、詩の分析の完成形にあたる。音節・リズム・韻・性が1枚に収まっている。

第17章の通過チェック

  • 中間休止と半句を説明できる
  • アレクサンドランと十音節の中間休止の位置を言える
  • ラシーヌの詩句を6+6に分けられる
  • 切れとは何か、フランス語で強めるのがどこかを言える
  • 三分割のアレクサンドランを説明でき、ユゴーの一行で示せる
  • またがり・送り・先送りを言い分けられる
  • またがりを見つけたあとに書くべき3つを言える
  • リズム分析の5段階を言え、結論になるのがどれかを言える

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次章へ

数え方・韻・切れ目という3つの道具が揃った。次はそれを組み合わせた形、すなわち詩型である。

次章は定型詩の形を扱う。ソネットの14行がどう組み立てられているか、押韻がどう定まっているか。形が分かると、その形をどこで破っているかが見えるようになる。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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