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CHAPTER 15 詩法 読む目安 約5分 / ⚡暗記ボックス 9

詩法|第15章 音節を数える — 詩句と無音の e

この章の狙い

要点: 数え方の規則は4つしかない。そのうち3つは、語末の e(無音の e)をどう扱うかの規則である。

この章を通れば、アレクサンドランが本当に12音節であることを、自分の手で確かめられるようになる。印象で語る段階から、測れる段階に移る。

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基本の原則

⊳ この節の問題を解く(1問)

  • 📘 音節:1つの母音を核とする、発音上のまとまりのこと。フランス詩では、発音される母音の数がそのまま音節の数になる。

原則

  • 発音される母音1つにつき、1音節。
  • 子音は数えない。「strict」は母音が1つなので1音節にあたる。
  • 綴りではなく音で数える。「eau」は母音字3つだが、音は1つなので1音節。
  • 数えるのは詩句1行ごと。行をまたいで数えない。
音節
jour jour 1
beau beau 1
ami a-mi 2
automne au-tom-ne 3(ただし行末では2)
alexandrin a-lex-an-drin 4

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無音の e の3つの規則

⊳ この節の問題を解く(2問・1枚)

  • 📘 無音の e:語末や語中に現れる e で、日常会話ではほとんど発音されないもの。フランス語では e muet または e caduc という。詩では、位置によって数えたり数えなかったりする。

これが、フランス詩の数え方で唯一やっかいな点にあたる。規則は3つだけである。

位置 扱い 理由
① 次の語が子音で始まる 数える 発音されるから
② 次の語が母音(または無音の h)で始まる 数えない(エリジョン) 前後の音がつながるから
③ 詩句の末尾 数えない 行末では消えるから

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  • 📘 エリジョン:語末の母音が、次の語の母音の前で消える現象のこと。書くときは « l'automne » のようにアポストロフで示すが、詩では書かれないまま音だけが消える場合もある。
語末の e をどう扱うか — 規則は3つだけ 1 次が子音 数える que も le も数える 2 次が母音 数えない comme Ulysse → comm' 3 詩句の末尾 数えない 行末の voyage は3音節 覚え方はこの一行でよい 子音の前なら数える。母音の前なら消える。行末なら消える。 動詞の三人称複数の語尾 -ent も、同じ扱いになる。 数え間違いで最も多いのは、行末の e を数えてしまう形 合わないときは、まず行末を確認する。
無音の e の三規則

3規則の覚え方

  • 子音の前なら数える。母音の前なら消える。行末なら消える。
  • この一行だけ覚えれば足りる。
  • 動詞の三人称複数の語尾 -ent も、無音の e と同じ扱いになる。

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数えてみる(1)— アレクサンドラン

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

ラシーヌ『フェードル』から。

« Le jour n'est pas plus pur que le fond de mon cœur. »

  • 訳:陽の光も、私の心の底ほどには清らかではない。
  • Le(1) / jour(2) / n'est(3) / pas(4) / plus(5) / pur(6) / que(7) / le(8) / fond(9) / de(10) / mon(11) / cœur(12)
  • 合計12音節。アレクサンドランである。
  • 「que」「le」「de」の e は、いずれも次が子音なので規則①により数える。

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数えてみる(2)— エリジョンが2回

⊳ この節の問題を解く(1問)

デュ・ベレー『悔恨(かいこん)詩集』の有名な冒頭。

« Heureux qui, comme Ulysse, a fait un beau voyage »

  • 訳:ユリシーズのように、よい旅をした者は幸いだ。
  • comme の e は、次が Ulysse(母音)なので消える(規則②)。
  • Ulysse の e は、次が a(母音)なので消える(規則②)。
  • Heu(1) / reux(2) / qui(3) / com(4) / m'U(5) / lys(6) / s'a(7) / fait(8) / un(9) / beau(10) / vo(11) / ya(12)
  • 末尾 voyage の最後の e は、行末なので数えない(規則③)。
  • 合計12音節。

エリジョンが2回起きているのに、正確に12になる。規則どおりに数えれば必ず合う。

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数えてみる(3)— 短い詩句

⊳ この節の問題を解く(1問)

ヴェルレーヌ「秋の歌」の冒頭。

詩句 数え方 音節数
« Les sanglots longs » Les / san / glots / longs 4
« Des violons » Des / vi / o / lons 4
« De l'automne » De / l'au / tom / ne(行末の e は数えない) 3

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4・4・3 の並びになる。この形が繰り返される。

ここで注意すべきは « violons » である。日常の発音では2音節に近いが、この詩句では3音節に数えないと4にならない。次の規則が働いている。

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二重母音を割るか割らないか

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

  • 📘 ディエレーズ:隣り合う2つの母音字を、2音節に分けて読むこと。「violons」を vi-o-lons と読む形にあたる。
  • 📘 シネレーズ:隣り合う2つの母音字を、1音節にまとめて読むこと。「violons」を vio-lons と読む形にあたる。
割る(ディエレーズ) 割らない(シネレーズ)
violon vi-o-lon(3) vio-lon(2)
nation na-ti-on(3) na-tion(2)
lion li-on(2) lion(1)

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⚠️ どちらかは、詩句の音節数から逆算する

  • 規則で一意に決まらない。語源や慣習である程度は決まるが、最終的には「その行が何音節になるべきか」から決める。
  • 1音節足りないなら、割る。1音節多いなら、割らない。
  • これは手抜きではなく、正規の手順にあたる。詩型が先にあり、読み方がそれに従う。
  • ディエレーズは目立つ。指摘したうえで「ここで音が引き延ばされる」と論じられる。

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母音の衝突

⊳ この節の問題を解く(1枚)

  • 📘 ハイアタス:語と語の間で、母音が続けて衝突すること。「tu as」のように、エリジョンできない形で母音が並ぶ場合を指す。

古典主義の詩ではこれを避ける規則があった。19世紀以降はゆるむ。

規則が守られているかを見る

  • 17世紀の詩でハイアタスがあれば、それは例外的な事態にあたる。指摘する価値がある。
  • 19世紀以降では珍しくない。避けられていないこと自体は論点にならない。
  • 時代によって規則が違うので、その作品の時代の規則で判定する。

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数え間違いを防ぐ

⊳ この節の問題を解く(1問・1枚)

⚠️ よくある4つの間違い

  • 行末の e を数えてしまう。必ず1多くなる。まず行末を確認する習慣をつける。
  • エリジョンを見落とす。「comme Ulysse」を4音節と数えてしまう。母音の前の e を探す。
  • 綴り字で数える。「beaucoup」は母音字が4つあるが、2音節にあたる。音で数える。
  • 二重母音を機械的に処理する。合わないときは、割るか割らないかを疑う。

確かめ方

  • 同じ詩の他の行を数える。全行が同じ数になるはずである。1行だけ合わないなら、その行の数え方が間違っている。
  • 合わない行が複数あるなら、詩型の判定が間違っている。12ではなく10かもしれない。
  • 奇数音節の可能性も残す。9音節や7音節の詩は存在する。

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語中の e と、その他の注意

語末以外の e も、位置によって扱いが変わる。

位置 扱い
語頭・語中で発音される 数える re-mède の re
語中で発音されない 数えない 「samedi」の e は落ちることがある
-ent(動詞の三人称複数) 語末の e と同じ扱い 子音の前なら数える

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迷ったときの原則

  • その語を、詩を朗読するようにゆっくり発音してみる。
  • 朗読では、日常会話より e が多く発音される。詩の朗読は、この e を落とさない。
  • それでも決まらないなら、行全体の音節数から逆算する(本章のディエレーズと同じ考え方)。

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3種類の詩型を数え分ける

同じ手順で、8音節・10音節・12音節を判定する。

判定の流れ

  • 1. 1行目を数える。
  • 2. 2行目、3行目も数える。
  • 3. 3行とも同じなら、それがその詩の音節数にあたる。
  • 4. 違うなら、規則的に変わるかを見る。「秋の歌」のように 4・4・3 が繰り返される形がある。
  • 5. 不規則なら、自由詩の可能性がある(第19章)。
数えた結果 判定
全行12 アレクサンドラン
全行10 十音節
全行8 八音節
4・4・3の繰り返し 短い詩句を組み合わせた形
全行9、7、11など奇数 奇数音節。19世紀後半以降の可能性
ばらばら 自由詩、または数え間違い

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数えた結果を記録する

⊳ この節の問題を解く(1問)

押韻表と一緒に作る

  • 行番号 / 音節数 / 行末の語 / 韻の記号 / 性の5列で表を作る。
  • 詩1篇について、この表を1つ作れば、形式の分析は済んでいる。
  • 表を作った時点で、必ず1つは気づくことが出てくる。「この行だけ音節が多い」「ここで性の交替が崩れる」。
  • その気づきが、そのままレポートの出発点になる。

⚠️ 表を作らずに印象で語らない

  • 「この詩はリズムが軽やかである」は、根拠のない記述にあたる。
  • 「全行8音節で、押韻は交差韻」は、確かめられる事実である。
  • 事実を先に置き、そこから印象を説明する。この順序を守る。

第15章の通過チェック

  • 音節を数える原則を3つ言える
  • 無音の e の3規則を、位置ごとに言える
  • エリジョンとは何かを説明できる
  • ラシーヌの詩句を実際に12音節に数えられる
  • 「comme Ulysse, a fait」でエリジョンが2回起きることを説明できる
  • ディエレーズとシネレーズの違いと、どちらかを決める方法を言える
  • ハイアタスとは何か、時代による扱いの違いを言える
  • 数え間違いの4つの型を言える

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次章へ

行の長さが測れるようになった。次は行の終わりである。

次章は押韻を扱う。どの行とどの行が韻を踏むか、その韻はどれくらい濃いか、そして韻の「性」という、フランス詩に固有の規則韻の並びが分かると、詩型が判定できるようになる。

読了の記録はこの端末の中だけに残ります。

📗 読み終えたら、この章の問題で理解を確かめましょう。

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