実践|第7章 つまずいたときの導線 — 症状から章へ
この章の狙い
要点: 症状から、開く章へ直行する。
「原文が読めない」「レポートが書けない」「先行研究が見つからない」「何を論じればいいか分からない」——それぞれに対応する章がある。
原文が読めない
| 症状 | 原因 | 開く |
|---|---|---|
| 単語は分かるが文が取れない | 文の骨格が見えていない | 01の14章(関係代名詞)・18章(話法) |
| 知らない語が多すぎる | 語彙が足りない | 01の21〜26章(単語帳) |
| 地の文の動詞が見たことのない形 | 単純過去を知らない | 01の19章 |
| 詩の行が数えられない | 音節の数え方 | 07の15章 |
| 時間がかかりすぎる | 難度の選び方 | 10の該当章の「原文を読む」 |
← 横に動かして読めます →
⚡ 最も多いのは3番目
- 単純過去は会話で使わないので、初級の教材に出てこない。
- だが文学の地の文はこの時制で書かれている。
- 01の19章を読むだけで、読めるようになる作品がある。
レポートが書けない
| 症状 | 原因 | 開く |
|---|---|---|
| 何を書けばいいか分からない | 問いが立っていない | 10の「レポートの切り口」→ 07の2章 |
| あらすじだけになる | 記述と解釈の区別 | 10の1章・07の11章 |
| 根拠が示せない | 本文から拾えていない | 07の11章(精読) |
| 引用の形式が分からない | 作法 | 07の6章・7章 |
| 構成が決まらない | 段落の作り方 | 07の8章 |
| 枠組みが選べない | 理論の使い方 | 08の早見表 → 該当章 |
← 横に動かして読めます →
⚡ 論の最小単位
- 本文のどこ(引用または箇所の指示)。
- そこで何が起きているか(形式・語り・語彙の観察)。
- だから何が言えるか(主張)。
- この3つが揃って1つの段落になる(10・07の領域)。
調べ物で止まる
| 症状 | 開く |
|---|---|
| 先行研究の探し方が分からない | 07の3章(資料を探す) |
| どこまで読めばいいか分からない | 07の4章(先行研究を読む) |
| どの版を使えばいいか分からない | 07の5章(版と本文) |
| フランス語の文献の書き方が分からない | 07の7章 |
| 図版の出典の書き方が分からない | 05の20章 |
| 年号が分からない | 03の早見表 |
| 用語がどこにあるか分からない | このサイトの横断索引 |
何を論じればいいか分からない
⚡ 順に試す
- 1. 10の「解釈の分かれ目」を見る。読みが割れてきた点が並んでいる。割れているということは、論じる余地があるということ。
- 2. 10の「レポートの切り口」を見る。問いの例が5つある。
- 3. 08の早見表で、自分の引っかかりから枠組みを引く。
- 4. 07の2章で、テーマを問いの形に変える。
⚠️ 数えられる形にする
- 「この作品は◯◯を描いている」は論になりにくい。
- 「◯◯という語が△回出る」「××の場面が◇箇所ある」は数えられる。
- 数えられる形にできると、論証が固まる(07・08の領域)。
- 戯曲と詩は分量が限られるので、全数調査ができる(10の領域)。
授業についていけない
| 症状 | 開く |
|---|---|
| 作家の名前が分からない | 02でその時代の章 |
| 作品の中身が分からない | 10の該当章(なければ02) |
| 背景の話が分からない | 03の早見表 |
| 哲学者の名前が出てくる | 04の該当章 |
| 絵や音楽の話が出てくる | 05の早見表 |
| 本国の外の作家が出てくる | 09の早見表 |
| 批評の用語が分からない | 08の用語集 |
⚡ 授業の前にやると効く1つのこと
- その週に扱う作品の章を、10で開いておく。
- あらすじと登場人物だけでよい。5分で読める。
- これだけで、授業中に聞き取れる量が変わる。
卒論で止まる
| 症状 | 開く |
|---|---|
| 作品が決まらない | 10の1章(20作品の選び方)→ 各章 |
| 問いが大きすぎる | 07の2章・9章 |
| 背景の章が膨らむ | 07の9章。必要な部分だけ引く |
| 枠組みを途中で変えたくなる | 08の20章 |
| 提出の形式が分からない | 07の9章 |
| 口頭発表がある | 07の20章 |
⚠️ 卒論で最も多いつまずき
- 記述の章が薄く、背景の章が厚い。逆にする。
- 記述の章に最も紙幅を使う(07・08の領域)。
- 背景は、そこから何が言えるかまで書いて初めて意味を持つ。
それでも分からないとき
⚡ 3つの手
- 1. このサイトの横断索引で、その語を引く。9サイトのどこに出るかが分かる。
- 2. 各サイトの全文検索を使う。用語の一部で出る。
- 3. 各サイトの用語集を見る。📘で定義した語が集まっている。
⚠️ この章で混同しやすい形
- 原文が読めない原因を、語彙不足だけと考える。単純過去を知らないことが原因の場合がある。
- レポートで、根拠を示す前に主張を書く。本文のどこか、が先。
- 問いを大きくする。数えられる形に絞る。
- 卒論で背景の章を厚くする。記述の章に紙幅を使う。
発表がある
| 症状 | 開く |
|---|---|
| 口頭発表の構成が分からない | 07の20章 |
| 配布資料の作り方が分からない | 07の20章 |
| 引用の示し方が分からない | 07の6章 |
| 時間が足りない/余る | 07の20章。話す分量の見積もり |
⚡ 発表で効く1つのこと
- 本文の引用を1つ決めて、そこから始める。
- 要約から入ると、聞く側に何が論点か伝わらない。
- これはレポートの構成と同じ原則にあたる(07の領域)。
生成AIをどう扱うか
⚡ 07の20章に書いてある
- 研究倫理の一部として扱う。
- 大学と指導教員の方針が最優先にあたる。
- 使ってよい範囲は、学科と授業によって違う。必ず確かめる。
- 出典のない記述をそのまま使わない。確かめられない情報は書かない。
⚠️ この教材群自体の扱い
- この教材群は、原典と授業の代わりにはならない。
- 記述に疑いがあれば、原典と事典で確かめる(07の領域)。
- 指導教員の指示が、この記述と食い違うなら、指示に従う。
⚡ 第7章の通過チェック
- 原文が読めない5つの症状と、それぞれ開く章を言える
- 単純過去を知らないことがなぜ多い原因なのかを説明できる
- 論の最小単位の3要素を言える
- 調べ物で止まったときの引き先を5つ言える
- 論じる余地を「解釈の分かれ目」から見つける理由を言える
- 卒論で最も多いつまずきと、その直し方を言える
次章へ
最終章はこれからの足し方である。
09をいつ厚くするか。索引をどう維持するか。そして、この9つに何を足していくか。——使いながら育てるための章にあたる。