案内|第6章 5つの教材の中身 — 03歴史・04思想・05芸術・08理論・09語圏
この章の狙い
要点: これらは通読しない。引くために作ってある。
ただし卒論で扱う時代の章だけは、通して読む。それぞれ何章あって、どこから引くかを並べる。
03|フランス史 — 20章
作品の外側にあった条件。
| 範囲 | 章 | 中身 |
|---|---|---|
| 王国の成立 | 2〜5 | ガリアからフランク王国、カペー朝、百年戦争、宗教戦争 |
| 絶対王政 | 6〜8 | 王権の確立、17世紀の社会、18世紀の行き詰まり |
| 革命と帝政 | 9〜10 | フランス革命、ナポレオン |
| 19世紀 | 11〜15 | 復古王政と七月王政、第二帝政、コミューン、第三共和政、植民地帝国 |
| 20世紀 | 16〜20 | 両大戦間、第二次大戦と占領、脱植民地化、第五共和政と1968年、現代 |
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⚡ 引き方
- 早見表に「作品の刊行年から政体を引く」表がある。『赤と黒』なら七月革命の年、『ボヴァリー夫人』なら第二帝政。
- 作中の年と刊行年が違う作品は、両方の欄を見る。
- 政体の名前が出てきたら、一覧表で年を確かめる。
⚠️ 政体名の「政」と「制」
- 共和政・帝政・王政の「政」に統一してある。
- 検索するときは、両方の書き方があることに注意する。
04|思想・哲学 — 20章
作品の下にある考え方。
| 範囲 | 章 | 中身 |
|---|---|---|
| 中世〜17世紀 | 2〜5 | 普遍論争、人文主義と懐疑、デカルト、パスカルとモラリスト |
| 18世紀 | 6〜9 | 啓蒙、法と寛容と百科全書、ルソー、革命期の思想 |
| 19世紀 | 10〜11 | 実証主義と社会主義、科学と決定論とその反動 |
| 20世紀前半 | 12〜15 | ベルクソン、現象学の受容、実存主義、不条理と反抗 |
| 20世紀後半 | 16〜20 | 構造主義、ポスト構造主義、性差と他者、現代 |
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⚡ この教材の背骨
- 「主体」の系譜である。デカルトの「考える私」から、19世紀の疑い、実存主義の自由、構造主義の解体まで。
- 1つの問いが20章を貫いている。
- どの章から読んでも、その位置が示してある。
⚠️ 04と08を混同しない
- 04は主張の当否を扱う。「その考え方は正しいか」。
- 08は枠組みの選択を扱う。「その道具で何が見えるか」。
- 同じ人物が両方に出ることがある。角度が違う。
05|文化と芸術 — 20章
同じ時代に作られた形。
| 範囲 | 章 | 中身 |
|---|---|---|
| 中世〜18世紀 | 2〜6 | ロマネスクとゴシック、城館、古典主義とヴェルサイユ、劇場、ロココとサロン展 |
| 19世紀 | 7〜13 | ロマン主義の絵画、写実主義、印象派、世紀末、音楽、建築と都市、写真 |
| 20世紀 | 14〜18 | 前衛、ダダとシュルレアリスム、音楽、映画、戦後と文化政策 |
| 実践 | 19〜20 | 作品と芸術をどう結ぶか、調べ方 |
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⚡ 05の19章が使いどころ
- 5つの接続の型——言及・描写・経験・制度・形式の並行。
- 上ほど確かで、下ほど解釈が入る。
- 「印象派的な文体」のような書き方は、根拠がなければ何も言っていない。
- 作品に絵画や音楽が出てきたら、まずこの章を開く。
⚠️ 図版は載せていない
- 20世紀の作品は著作権が存続しているものが多い。
- 作品名と年で示すので、美術館の公開画像で各自確認する。
08|文学理論・批評 — 20章
同じ作品を、違う目で読む道具。
| 範囲 | 章 | 中身 |
|---|---|---|
| 前史 | 2〜3 | 実証批評と印象批評、形式への注目 |
| テクストの内側 | 4〜7 | 物語論、意識の批評、精神分析批評 |
| テクストの外側 | 8〜10 | 社会批評、記号論と間テクスト性、受容理論 |
| 転回とその後 | 11〜12 | 脱構築、正典・ジャンル・場 |
| 立場からの批評 | 13〜15 | ジェンダー、ポストコロニアル、文化研究 |
| 現在 | 16〜18 | 生成研究、現在の潮流、理論への批判 |
| 実践 | 19〜20 | 1つの作品を5つの枠組みで、卒論で理論を使う |
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⚡ 各章の型
- 枠組みの中身 → この枠組みで何が見えるか → 何が見えなくなるか → 分析の手順(6段階)→ 当ててみる。
- 「何が見えなくなるか」を必ず書いてある。理論は正解ではなく道具にあたる。
- 早見表は「引っかかりから枠組みを引く」形になっている。
⚡ 引っかかりから引く例
- 誰がどこから語っているか気になる → 物語論。
- 説明のつかない反復や欠落がある → 精神分析批評。
- 論理が自分で崩れている → 脱構築。
- 誰が読者として想定されているか → 受容理論。
09|フランス語圏 — 12章(仮の版)
本国の外のフランス語文学。
| 範囲 | 章 | 中身 |
|---|---|---|
| 共通の問い | 1〜2 | 4つの成り立ちの型、なぜ支配者の言語で書くのか |
| マグレブ | 3〜4 | アルジェリア・モロッコ・チュニジア、アルジェリア戦争 |
| アフリカ | 5〜6 | サハラ以南アフリカ、ネグリチュード |
| カリブ海 | 7 | アンティル性とクレオール性 |
| その他の地域 | 8〜9 | ケベック、ベルギー・スイス |
| 本国の中 | 10 | 移民と郊外の文学 |
| 実践 | 11〜12 | 理論との接続、調べ方 |
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⚡ この教材だけ仮の版にあたる
- 12章と短い。卒論の領域が決まったら、その地域を厚くする。
- 第2章は必ず読む。全地域に共通する問いである。
- あとは関心のある地域の章へ直行してよい。
⚠️ 10との分担
- 10の20作品はすべて本国の作家にあたる。
- カミュはアルジェリア生まれだが、植民者の側である(09の1章)。
- 本国の外の作家が出てきたときに09を開く。
この5つの使い分け
| 問い | 開く |
|---|---|
| いつ、何があったか | 03 |
| 当時どう考えられていたか | 04 |
| 当時どんな形が作られていたか | 05 |
| どの道具で読むか | 08 |
| 本国の外の作家か | 09 |
⚡ 卒論での使い方
- 03・04・05は、必要な部分だけ引く。背景の章に通史を書かない。
- 08は1つの枠組みに絞る。複数を混ぜると論が曖昧になる。
- 例外は、扱う時代の章。そこは通して読む。
⚠️ この章で混同しやすい形
- 03・04・05を通読しようとする。引くために作ってある。
- 04と08を同じものと考える。主張の当否と枠組みの選択は別。
- 08の枠組みを複数使う。卒論では1つに絞る。
- 05の19章を読まずに、絵画と文学を並べる。根拠のない並行になる。
⚡ 第6章の通過チェック
- 5つの教材の章数を言える
- 03の早見表の引き方を説明できる
- 04の背骨になっている問いを言える
- 05の19章の5つの型を言える
- 08の各章の型を5段階で言える
- 08で引っかかりから枠組みを引く例を4つ言える
- 09が仮の版である理由と、10との分担を言える
次章へ
次章はつまずいたときの導線である。
「原文が読めない」「レポートが書けない」「先行研究が見つからない」「何を論じればいいか分からない」——症状から、開く章へ直行する。この教材群を作った理由がいちばん出ている章にあたる。