実践|第4章 横断索引の使い方 — 同じ対象を8方向から
この章の狙い
要点: 同じ作家が、4つのサイトに出てくることがある。
ラシーヌもカミュもそうである。そしてそれぞれ違うことが書いてある。どこに何が書いてあるかを1か所で引くのが、539行の横断索引にあたる。
この索引は早見表のページにある。この章は、その使い方を説明する。
索引に何が入っているか
| 種別 | 件数 | 例 |
|---|---|---|
| 概念 | 232 | 自由間接話法、ライシテ、クレオール性 |
| 人物 | 108 | ラシーヌ、ボードレール、ファノン |
| 作品 | 47 | 『フェードル』『悪の華』『ネジュマ』 |
| 出来事 | 45 | 1789年の革命、1857年の裁判、1962年の独立 |
| 運動 | 21 | 古典主義、シュルレアリスム、ネグリチュード |
| 場所 | 7 | パリ、ケベック、ハイチ |
← 横に動かして読めます →
件数の合計は460、索引の行数は539。差の分が、同じ対象が複数のサイトに出ているぶんにあたる。
ID という仕組み
- 📘 ID:サイトをまたいで同じものを指すための文字列。表記が揺れても、これが同じなら同じ対象にあたる。
| 種別 | 接頭辞 | 形 |
|---|---|---|
| 人物 | p: |
姓-名 |
| 作品 | o: |
フランス語の原題 |
| 出来事 | e: |
年-短い名 |
| 運動 | m: |
フランス語名 |
| 場所 | l: |
フランス語名 |
| 概念 | c: |
フランス語名 |
← 横に動かして読めます →
⚡ なぜ必要か
- 日本語の表記は揺れる。ディドロを「ドゥニ」と書くか「ドニ」と書くか。
- 同じ人を別のサイトで別に書くと、結べなくなる。
- IDを共通にしておけば、表記が違っても同じ対象と分かる。
- 実際に、この索引を作った時点で4件、09を足した時点でさらに3件の食い違いが見つかり、直した。
複数のサイトに出る対象
62件が、2つ以上のサイトに出る。
| 対象 | 出るサイト | それぞれ何が書いてあるか |
|---|---|---|
| ジャン・ラシーヌ | 01・02・10・07 | 原文の例文/古典主義での位置/『フェードル』の中身/韻文の詩法 |
| アルベール・カミュ | 01・02・04・10 | 語彙の例/戦後の位置/不条理という考え方/『異邦人』の中身 |
| シャルル・ボードレール | 02・07・10 | 象徴主義の起点/韻文の分析例/『悪の華』の構成 |
| 『エセー』 | 02・04・10 | 16世紀の位置/懐疑という方法/作品の中身 |
| 古典主義 | 02・05 | 文学の規範/絵画と建築の規範 |
| ネグリチュード | 02・09 | 文学史の中の位置/運動の成り立ちと批判 |
| アルジェリア戦争 | 03・09 | 政治の経過/文学に何をしたか |
← 横に動かして読めます →
⚡ これが最も役に立つ場面
- レポートで1人の作家を扱うとき、4つのサイトから材料が集まる。
- それぞれ角度が違うので、足すと厚みが出る。
- 同じことが4回書いてあるのではない。
索引の引き方
⚡ 手順
- 1. 早見表のページを開く。
- 2. 調べたい名前で探す。種別ごとに分けて並べてある。
- 3. 「サイト」「章」「節」の3列を見る。
- 4. そのサイトのその章を開く。節の見出しまで書いてあるので、章の頭から探さなくてよい。
⚡ 早見表のページを使わない引き方
- 各サイトに全文検索がある。用語の一部を入れれば出る。
- 各サイトに用語集のページがある。📘で定義した語が集まっている。
- 横断索引は「どのサイトか分からないとき」に使う。
索引を維持する
⚡ 各サイトの
教材/索引.tsvが本体にあたる
- 本文で人物・作品・出来事に触れたら、その場で1行足す。
- 列は6つ。ID、表記、種別、章、節、一行説明。
- 同じIDが複数の章に出るなら、行を複数書く。
- このサイトの早見表は、8つのファイルを集めて作ったものにあたる。
⚠️ 食い違いが起きる4つの形
- 同じ表記に別のIDを付けた。「人権宣言」を出来事とした章と、概念とした章があった。
- 同じIDに別の表記を付けた。「ドゥニ・ディドロ」と「ドニ・ディドロ」。
- 種別が揺れた。同じものを出来事とも概念とも書いた。
- 節の見出しを書き換えたのに、索引を直さなかった。
- いずれも、集めた時点で機械的に見つかる。
索引から作品研究へ
1つの作品を、索引から広げる手順を示す。
⚡ 『悪の華』を例に
- 1. 索引で引く。02・07・10の3サイトに出る。
- 2. 10で中身を掴む。部立てと、貫く運動。
- 3. 02で位置を確かめる。象徴主義の起点としての扱い。
- 4. 07で韻文の分析のしかたを確かめる。音節・脚韻・切れ目。
- 5. 03で1857年を引く。第二帝政と裁判の制度。
- 6. 05で同年の芸術を引く。写実主義の絵画。
- 7. 08で枠組みを選ぶ。
⚡ この手順が使える理由
- 索引が、どのサイトのどの節かまで示すから。
- 各サイトが単独で完結しているので、そこだけ読めばよいから。
- 横断索引は、8つを1つの資料体として使うための入口にあたる。
⚠️ この章で混同しやすい形
- 同じ対象が複数のサイトに出るのを、重複と考える。角度が違う。
- IDを本文に書くものと考える。索引のファイルにだけ書く。
- 横断索引を最初に引く。どのサイトか分かっているなら、そのサイトの検索が速い。
- 索引を後からまとめて作る。本文を書いた場で1行足す。
⚡ 第4章の通過チェック
- 索引の種別6つと、おおよその件数を言える
- 行数と固有の対象の数が違う理由を言える
- IDの6つの接頭辞を言える
- IDが必要な理由を説明できる
- 複数のサイトに出る対象の例を3つ挙げ、それぞれ何が書いてあるかを言える
- 索引の食い違いが起きる4つの形を言える
次章へ
次章から2章にわたって、9サイトの中身を並べる。
それぞれ何章あって、何が書いてあり、何が書いていないか。まず01語学・02文学史・10作品・07方法の4つ——作品を読んで書くために、直接使う4つである。